米金融大手シティグループは15日、トークン化預金の推進を当面の優先事項とする方針を示した。あわせて、独自のステーブルコイン発行についても積極的に検討していることが明らかになった。
加速するデジタル資産戦略の背景
シティグループは、決済や資金調達、流動性管理のデジタル化を柱とする戦略の一環として、これらの取り組みを進めている。
あわせて、ステーブルコインの準備金管理サービスや暗号資産(仮想通貨)のカストディ(保管・管理)ソリューションの開発も進行中だ。
こうした動きの背景には、デジタル資産市場の成長見通しと規制環境の整備がある。
同行の内部調査によれば、主に米ドルに連動するステーブルコイン市場は、取引や国際決済の需要を受けて、2030年までに3兆7000億ドルに達すると見込まれている。
規制面では、2025年6月に米上院を通過したGENIUS Actが追い風となっている。
同法案は、ドル連動型ステーブルコインの法的枠組みを定めるもので、金融機関の参入を後押しする内容だ。大統領によるドル担保型ステーブルコインへの支持も、普及を後押ししている。
ウォール街の競争と今後の展望
ブロックチェーン技術を活用した金融サービス分野では、ウォール街での競争が激化している。
JPモルガン・チェースなど主要行も、ステーブルコインに類似した資産やトークン化預金の開発に取り組んでいる。
シティグループはこれらの技術革新を、業務の近代化、新たな収益源の開拓、統合されたデジタル資産サービスを求める顧客の獲得手段と位置づけている。
2024年にはCiti Token Servicesを開始し、トークン化預金の運用をすでに始めている。一方で、ステーブルコインの発行は現在も検討段階にある。
金融業界全体で、ブロックチェーン基盤の決済やカストディへの移行が進む中、シティグループの取り組みもこの流れに沿ったものといえる。
伝統的な金融機関の参入は、仮想通貨市場の信頼性向上につながっており、実際に多くの投資家が仮想通貨投資に関心を示している。