ステーブルコインUSDCを発行するサークル社の親会社、サークル・インターネット・グループは9日、暗号資産(仮想通貨)取引所OKXとの提携を結んだ。
この提携により、世界で6000万人を超えるユーザーが対象となり、USDCと米ドル間の交換手数料が無料となる。
対象となるサービスは多岐にわたり、OKXの現物取引、証拠金取引、Web3ウォレットを含む全てのプラットフォームで本サービスが利用可能だ。
伝統金融とDeFiを繋ぐ架け橋
両社は共有する銀行パートナーを通じ、シームレスなオンランプおよびオフランプの実現を目指す。これにより、ユーザーは米ドルとUSDCの相互交換を簡便に行えるようになる。
サービスはイーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)を含む12のブロックチェーンネットワークに対応し、チェーン間でのUSDC操作を効率化する。
OKXはスタンダードチャータード銀行やDBS銀行などとの提携により、流動性の確保を進めている。
一方、サークルはUSDCと米ドルの1対1の価値維持を保証し、規制遵守の徹底を図る。
この取り組みは、取引や決済、財務管理におけるステーブルコインの活用を促進し、伝統的な金融とDApps、そしてDeFiの橋渡しを目指すものだ。
市場競争と今後の展望
ステーブルコインの普及において、交換手数料は大きな障壁とされてきた。今回の無料化は、DeFiや決済分野での利用拡大につながるとみられる。
市場では現在もテザー(USDT)が優位を占めているが、OKXはUSDTとUSDCを併用するマルチステーブルコイン戦略を推進し、エコシステムの拡大を図る。
また、サークルによるUSDCの裏付け資産に関する透明性確保や、OKXの法令順守体制は、中央集権型ステーブルコインへの信頼性向上を狙ったものだ。
この提携はWeb3アプリケーションや国際的な金融取引における、実用性の高いステーブルコインの需要増に応えるかたちとなる。
9日の発表当日、サークルの株価は1.74%下落し、200.05ドルで取引を終えた。これは、提携の長期的な戦略的価値が認められつつも、市場が複雑な見方をしていることを示している。