ステーブルコイン大手Circle、約6.9兆円の時価総額でIPO成功

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デジタル通貨のシンボルが浮かぶニューヨーク証券取引所の近代的な金融ビル

ステーブルコイン「USDC」の発行企業であるCircle Internet Groupは5日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)での新規株式公開(IPO)を完了したと発表した

同社とジェレミー・アレール最高経営責任者(CEO)を含む既存株主は、1株約31ドルで3400万株を売り出し、約11億ドル(約1584億円)を調達した。

ブルームバーグが匿名の関係者を引用して報じたところによると、この価格設定により同社の時価総額は約69億ドル(約9936億円)、完全希薄化ベースでは81億ドル(約1兆1664億円)に達する見込みだという。

当初計画を上回る規模での株式公開

Circleは当初、米証券取引委員会(SEC)への届出書類で2400万株を1株24~26ドルで売り出す計画を示していた。しかし強い投資家需要を受けて、同社は売り出し規模を3200万株に拡大し、価格帯も27~28ドルに引き上げていた。

最終的な売り出し価格である31ドルは、この修正価格帯をさらに上回る水準となった。関係者によると、株式への注文は利用可能な株式数の25倍に達し、大幅な供給超過状態となっていたという。

この強い需要が価格上昇と売り出し規模拡大の背景にある。

ステーブルコイン市場での地位確立

今回のIPOは、ビットコイン(BTC)が史上最高値を更新するなど、暗号資産(仮想通貨)市場が活況を呈する中で実施された。特に、代表的な資産であるビットコインの動向は市場心理に大きな影響を与える。

特にステーブルコイン分野では、米国でのステーブルコイン規制法案「Genius Act」の成立期待が高まっており、規制遵守を重視するCircleにとって追い風となっている。USDCは多くのブロックチェーン上で発行されているが、中でもイーサリアム(ETH)との連携は特に重要視されている。

同社の2024年売上高は17億ドル(約2448億円)に達し、2020年の1540万ドルから大幅に増加した。一方で純利益は2023年の2億6770万ドルから2024年は1億5570万ドルに減少している。

JPモルガン、シティグループ、ゴールドマン・サックスなどの大手金融機関が引受業務に参加し、機関投資家からの強い支持を示した。

著者: 名本 太陽

仮想通貨専門のWebライター。2017年からブロックチェーン業界に携わり、国内外の仮想通貨取引所やDeFiプロジェクトのホワイトペーパー、解説記事、プレスリリースを多数執筆。金融メディアでの連載経験もあり。専門はDeFi、NFT、メタバースで、最新トレンドに基づいた正確かつ分かりやすいコンテンツ制作を得意とする。