高級不動産仲介大手のクリスティーズ・インターナショナル・リアルエステートは24日、暗号資産(仮想通貨)による不動産取引を専門に扱う部門を新設した。
米国の大手不動産会社としては初の取り組みで、銀行を介さず、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨で直接取引を完結させる。
法律、金融、仮想通貨の専門家が在籍し、安全かつ規制に準拠した取引体制を構築している。
活発化する仮想通貨決済と市場の需要
同社は、買い手の要望に応じてビバリーヒルズの邸宅を6500万ドルで全額仮想通貨により売却した実績がある。現在、総額10億ドル超の高級物件を仮想通貨決済の対象として掲載している。
これには、ベルエアのLa FinやビバリーヒルズのNightingaleなどが含まれ、ジョシュア・ツリーのInvisible Houseも対象となっている。
資産を多様化させたい富裕層の需要に加え、ブロックチェーン技術によって国際送金の遅延が解消され、取引の迅速化が進んでいる。
規制緩和が後押し、業界の新たな標準へ
近年の規制緩和も仮想通貨による不動産取引の拡大を後押ししている。米当局が仮想通貨を住宅ローンの準備金として認めるなど、制度面の整備が進み、機関投資家の参入も増加した。
この新部門を率いるクリスティーズ南カリフォルニアのアーロン・カーマンCEOは、「仮想通貨は定着し、今後さらに拡大するだろう」と述べている。
特に、代表的な仮想通貨であるビットコインは富裕層にとって、価値保存の手段として広く活用されている。
また、イーサリアムはスマートコントラクト機能により、不動産取引の透明性と効率性を高める手段として採用が進んでいる。
同社は資金の出所を明確にするため、ブロックチェーンを活用した厳格なデューデリジェンスを実施している。