資産運用会社のカナリーキャピタルは10日、インジェクティブ(INJ)のステーキング機能を持つ上場投資信託(ETF)をデラウェア州で登録した。
米国でのETF立ち上げに向けた準備段階とみられる。
州務省への提出書類によると、同社は「Canary Staked INJ ETF」として法定信託を設立。従来の現物ETFとは異なり、ステーキング報酬を組み込んだ新たな投資商品となる。
ステーキング報酬で二重の収益機会
この商品はインジェクティブの価格を追跡するだけでなく、ステーキング機能を導入している点が特徴だ。投資家はファンドを通じてINJをステーキングし、追加のトークンを報酬として獲得できる。
報酬は自動的に再投資され、価格上昇に加えてネットワークの安全性に貢献することによる利回りも期待できる。この構造は同社が以前申請したトロン基盤のETFなどと同様の戦略に基づいている。
インジェクティブは人工知能エージェントと分散型金融に特化したレイヤー1ブロックチェーンで、カナリーキャピタルにとって初の参入となる。
SEC承認への長いプロセス
デラウェア州での信託登録は、米国のETF発行体にとって標準的な第一歩だ。法的枠組みを整えた後、米証券取引委員会への申請に進む必要がある。
具体的には証券登録のための「S-1フォーム」や取引所上場のための「19b-4フォーム」の提出が求められる。この動きは欧州で既に存在する21Sharesのインジェクティブ連動型ETPなどを意識したものとみられる。
カナリーキャピタルは今年、スイ(SUI)、PENGUなど複数の仮想通貨ETFを申請しており、投資商品の多様化を図る戦略を展開している。ただし米国ではステーキング機能を持つビットコインETFはまだ承認されておらず、今回の信託設立がSECの承認を保証するものではない。