暗号資産(仮想通貨)取引所バイビットはこのほど、ソラナブロックチェーン上に新たな分散型取引所「Byreal」の立ち上げを進めている。
Byrealでは、Revive VaultやReset Launchといったサービスも展開予定であり、中央集権型取引所(CEX)で蓄積した豊富な流動性を活かすため、見積依頼方式と集中型流動性マーケットメイカーを組み合わせたハイブリッド型取引モデルを導入する。
この設計により、バイビットのユーザーは既存のアプリケーションを通じて、シームレスにByrealへアクセス可能になる見通しだ。
バイビットとコインベースの統合戦略が加速
米大手仮想通貨取引所コインベースはこのほど、自社プラットフォームにBaseチェーン上の分散型取引所(DEX)を直接統合する計画を発表し、今週中のサービス開始を目指している。
これにより、コインベースの数百万人のユーザーはガス代を支払うことなく、数千種類に及ぶアルトコインの取引が可能となる。ただし、通常のCEX取引手数料は引き続き適用される。
この発表は、Baseチェーン上で最大のDEXであるAerodromeにとっても追い風となった。統合のニュースを受け、同取引所の手数料収益に関連するAEROトークンの価格は52%上昇するなど、市場の強い反応が見られた。
バイナンス、Alphaキャンペーンでエコシステム強化
バイナンスは5月より、エコシステム拡大を目的とした複合型キャンペーン「Alpha」を展開している。この施策では、対象となる仮想通貨の取引に応じてAlpha Pointsがユーザーに付与され、将来的なエアドロップ受給の権利を得られる仕組みが導入されている。
一見すると一般的な取引コンペのように見えるが、ポイントの付与基準は損益ではなく、純粋な取引量に基づいており、背後には明確な戦略が存在する。
第1の戦略は、Binance Walletの利用促進だ。Alpha Pointsは、同社提供のキーレスウォレットを使用して取引した場合にのみ獲得できる仕組みだ。この施策により、バイナンスはウォレット市場で圧倒的な地位を築いているが、取引にはCEXの手数料が適用されるため、実質的に同社のCEX利用者として取引することになる。
第2の戦略は、BNBチェーンエコシステムの強化である。Alphaキャンペーンで取り扱われるトークンの多くは、BNBチェーン上の代表的なDEXであるPancakeSwapを通じて処理されている。これにより、同DEXの取引量はAlpha開始以降、目に見えて拡大している。
これらの動きは、バイナンスをはじめとする大手CEXがオンチェーン領域への関与を深めていることを示している。
近年、オンチェーン経済は大きく進化し、分散型金融は成熟と安全性を一層高めた。その結果、規制要件を遵守する必要がある中央集権的事業体も、自社技術スタックにDeFiインフラを統合できる段階に達したといえる。