欧州第2位のネオバンク(新興オンライン銀行)であるバンク(Bunq)は29日、仮想通貨取引所クラーケン(Kraken)との提携を通じて、自社の銀行アプリ内で暗号資産(仮想通貨)取引サービスを開始した。
Bunq、Kraken提携でアプリ内仮想通貨取引を開始
アムステルダムを拠点とするデジタルバンクBunqは、「bunq Crypto」と名付けられた新サービスを発表した。このサービスは、取引量で世界14位の仮想通貨取引所であるKrakenによって提供される。
利用者は、オランダ、フランス、スペイン、アイルランド、イタリア、ベルギーの6カ国において、従来の銀行機能と同じインターフェースを通じて、300種類以上の仮想通貨を売買できる。
対象となる仮想通貨には、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)などが含まれる。
Bunqによると、このサービス開始は、銀行、貯蓄、仮想通貨投資を一つのプラットフォームで行いたいというユーザーのニーズに応えるものだ。
これは同社にとって初の主要な仮想通貨関連サービスであり、規制された銀行業務と大規模な仮想通貨アクセスを組み合わせる数少ないネオバンクの一つとなる。
規制準拠と今後の展開
今回のサービス開始は、EU加盟国全体で仮想通貨規制を標準化する仮想通貨市場規制(MiCA)の枠組みに沿った動きである。
BunqはKrakenとの提携により、コンプライアンス、セキュリティ、流動性に関する既存のインフラを活用する。
近年、個人投資家による仮想通貨への関心が高まっており、Bunqはこの需要に応える形で安全な統合技術を提供する狙いだ。
レボリュート(Revolut)のようなデジタル金融サービスがすでに仮想通貨サービスを提供していることも、Bunqがサービス拡充を加速させる一因となったと考えられる。
Bunqは今後、欧州経済領域(EEA)全域、英国、米国へも仮想通貨取引サービスの拡大を目指している。
ただし、EU域外では、英国の金融行動監視機構(FCA)のガイドラインや米国の証券取引委員会(SEC)の監督など、各地域の規制が拡大の計画に影響を与える可能性がある。
この動きは、金融サービスが包括的なプラットフォームへと移行するトレンドを反映している。
大手仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)のブライアン・アームストロングCEOは、将来的に統合された金融口座が主流になると予測している。
Bunqは2024年6月時点で1250万人のユーザーを抱え、その急成長はデジタルの利便性重視による結果だと見られている。
ビットコインやイーサリアムといった主要通貨に加え、多様なアルトコインへのアクセスも提供することで、ユーザーの選択肢を広げている。
同社は認可された銀行として、独立した仮想通貨取引所と比較して規制上の保護措置が充実している点を強調している。