資産運用大手のブラックロックは28日、ステーブルコインのUSDコイン(USDC)発行企業のサークル(Circle)が実施する新規株式公開(IPO)で約10%の株式取得を計画していることが明らかになった。
サークルは時価総額612億ドル(約8兆8128億円)で第2位のステーブルコイン、USDコインを発行している企業だ。
同社は6億2400万ドル(約898億円)規模のIPOを実施する予定で、2400万株のクラスA株式を公開する。最終的な価格決定前から需要が供給を上回っているとされる。
機関投資家の強い関心
ブラックロックのIPO参加は、ステーブルコイン市場への機関投資家の強い関心を示している。同社は世界最大級の資産運用会社として、仮想通貨分野への投資を積極的に拡大している。
キャシー・ウッド氏率いる米投資運用騎乗のアーク・インベストも1.5億ドル(約216億円)をこのIPOに配分している。
これらの大手機関投資家の参入は、サークルがテザー(USDT)との競争や規制上の課題に対処する能力への信頼を反映している。
サークルは4月1日にフォームS-1を提出したが、市場の変動性やコインベースやリップル(XRP)との買収交渉の噂に直面した。同社はこれらの買収報道を否定し、株式公開への取り組みを表明している。
ステーブルコイン市場の競争激化
USDコインの時価総額609億ドルは、テザーの1120億ドル(約16兆1300億円)には及ばないものの、ステーブルコイン分野における重要な地位を確立している。
テザーが「株式公開の必要はない」と述べてIPO計画を否定しているのとは対照的に、サークルは公開市場での成長戦略を選択している。
デジタル資産の普及により、アルトコイン市場も注目を集めている。
サークルは2024年に前年比16%増の16億7000万ドル(約2405億円)の売上を報告した。ただし、純利益は42%減の1億5570万ドル(約224億円)となり、市場の逆風を反映している。
同社はニューヨーク証券取引所にCRCLのティッカーシンボルで上場予定だ。
IPOの純収益は2億1320万ドル(約307億円)と見積もられており、引受業者がオプションを行使した場合は2億9800万ドル(約429億円)に増加する可能性がある。