Nasdaq上場の農産物商社Davis Commodities(DTCK)は日本時間6月16日、総額3000万ドル(約43億2000万円)規模の戦略的イニシアチブを開始した。ビットコイン(BTC)を準備資産とし、現実世界資産(RWA)のトークン化と組み合わせることで、グローバルな農産物取引の変革を目指す。
ビットコインとRWAトークン化の二本柱
シンガポールを拠点とするDavis Commoditiesは、砂糖や米、食用油を取り扱う農産物商社だ。
今回の新戦略では、資金の40%にあたる1200万ドル(約17億2800万円)をBTCの購入に充て、インフレヘッジおよび財務基盤の強化を図る。BTCは2023年に156%、2024年に121%の上昇を記録し、価値保存手段としての注目が高まっている。
全体の50%に相当する1500万ドル(約21億6000万円)は、農産物のRWAトークン化プロジェクトに投資され、同社は24カ月以内に年間収益を5000万ドル(約72億円)増加させる計画だ。
残りの10%、300万ドル(約4億3200万円)はブロックチェーンインフラの強化と戦略的パートナーシップ構築に充てられる。
トークン化の基盤として広く用いられているイーサリアム(ETH)などのプラットフォーム活用も検討されている。
伝統市場の変革と将来性
この取り組みは、ブロックチェーン技術を活用して現物資産の分割所有を実現し、従来の農産物取引を近代化する取り組みとなる。背景には、BTCが希少性の高いインフレ耐性資産として評価される動きがある。
世界のRWA市場は2030年までに16兆ドル規模に拡大すると予測されており、農産物のデジタル化需要を押し上げている。
従来のコモディティ市場は流動性に課題があるが、RWAトークン化により少額からの投資が可能となり、この課題の解決が期待される。
Davis Commoditiesは、初期段階で450万ドル(約6億4800万円)をBTCに投資し、段階的に1200万ドルまで増額する方針だ。また、ブラジルなどの新興市場にネットワークを広げ、供給網の多様化も進めている。
今回の取り組みは、農業分野におけるデジタル資産活用の先例となり、業界全体への波及も見込まれる。