マスク氏、フォートノックスの透明性を巡る議論に言及

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ビットコインのチャンス到来!ムスクのDOGEがフォートノックスの金準備に疑問を投げかける

週末に行われたX(旧Twitter)上のやり取りで、イーロン・マスク氏は、米国の厳重に管理された施設の一つであるフォートノックスについて言及した。ユーザーから、同氏のコスト削減プログラム「政府効率化省(DOGE)」の適用を提案されたことが発端となった。

フォートノックスは米陸軍の基地であり、約4580トンの金を保管する施設として広く知られている。このやり取りを受け、暗号資産(仮想通貨)コミュニティや現職議員の間で、米国の金準備の透明性に関する議論が再燃。長年にわたり指摘されてきた金庫内の実態に関する疑問が、改めて注目を集める形となった。

フォートノックスの金保有を巡る議論が再燃

マスク氏の発言が議論を呼ぶきっかけとなったのは、金融ニュースサイト「ゼロヘッジ」の投稿だった。同サイトはX上で、「マスク氏がフォートノックスの内部を確認し、4580トンの米国の金が実際に存在するか確かめるべきだ。最後に確認されたのは1974年だ」と提案。

この投稿は190万人以上に閲覧され、5万9000件以上の「いいね」を獲得。マスク氏は「確かに毎年確認されているのだろうか?」と反応した。これに対し、ゼロヘッジは「そうであるべきだが、実際にはそうではない」と返答した。

このやり取りを受け、オンラインコミュニティではフォートノックスの金庫に関する疑問が再浮上。金が売却された、または減少しているのではないかという憶測が広がった。

さらに、ケンタッキー州選出の上院議員ラン・ポール氏も議論に加わり、「いいえ、やりましょう」と簡潔に賛同の意を表明した。同氏の父である元下院議員ロン・ポール氏は、1970年代から米国の金準備の透明性向上を訴えており、十分な金保有があるのか、あるいは不足しているのではないかとの懸念を示していた。

フォートノックスへの公式訪問として記録されているのは、1974年にジャーナリストや議員による内部視察が行われたケースと、2017年に元財務長官スティーブ・ムニューシン氏が短時間視察したケースのみだ。しかし、完全な監査が実施された記録は公にされておらず、金の実在を疑う陰謀論が根強く残っている。

仮にフォートノックスが4580トンの金を保有している場合、その価値は現在の市場価格で約4250億ドルに相当すると推定される。

ビットコインへの影響

フォートノックスの金保有に対する疑念が浮上したことで、ビットコイン(BTC)の検証可能性に関する議論へと発展した。特に、デジタル資産の透明性と所有権の確証に焦点が当てられている。

ETFストアの社長であり、ETFインスティテュートの共同創設者であるネイト・ゲラシ氏は、この問題について「資産の所有権を独立して検証できる技術的な解決策があれば理想的だ」と指摘。その上で、「仮にフォートノックスに金が存在しないとすれば、それはビットコインにとって大きなチャンスとなる」との見解を示した。

さらに、ゲラシ氏は「私は金がそこにあると考えているが、今回の議論を通じて、すべての資産についてリアルタイムで所有権を確認できる技術の重要性が改めて浮き彫りになった」と述べた。

ビットコインは、ブロックチェーン技術により取引履歴を完全に検証可能な形で記録できる点が特徴だ。今回のフォートノックスに関する議論を受け、従来型の資産とデジタル資産の透明性の違いが改めて注目される形となった。

他の人々も同様の意見を表明。サトシ・アクト・ファンドのCEOで創設者であるデニス・ポーター氏は、ビットコインの24時間年中無休の透明性を強調した。

「国家(および連邦政府)が金ではなくビットコインを選ぶべき理由の一つです。公共は政府のビットコイン保有を24時間年中無休で監査することができます。我々の金準備の最も広範な監査は… 70年以上前に行われました。」

一方、アメリカ合衆国の上院議員であり、長年ビットコインの支持者であるシンシア・ルミス議員(元大統領ドナルド・トランプの下でデジタル資産に関する上院銀行小委員会の委員長)は、現代的なアプローチの必要性を強調。

「ビットコインがこれを解決します。ビットコインの準備金は、基本的なコンピュータで24時間年中無休で監査することができます。私たちの準備金をアップグレードする時が来ました。」

一部の市場関係者は極端なシナリオを想定し、その影響について議論を展開している。

ビットコイン関連のポッドキャストを運営するウォーカー氏は、マスク氏の発言を契機にフォートノックスの監査が実施され、その結果として報告されている保有量が大幅に下回る可能性を指摘。この仮説に基づき、米国政府が戦略的なビットコイン準備金の形成に乗り出す可能性を示唆した。

ウォーカー氏によると、仮に監査結果が市場に衝撃を与えた場合、トランプ前大統領が大統領命令を通じてビットコインの国家準備資産化を推進し、国際的な暗号資産競争が加速する可能性があるという。この過程で、金の市場価値はビットコインに対して相対的に低下し、その地位が揺らぐとの見解を示している。

また、彼のシナリオでは、中国やロシアが米国の動きを警戒し、自国のビットコイン保有量を増やす動きに出ると想定。この展開により、伝統的な金本位制の支持者であるピーター・シフ氏は「精神的に追い詰められる」といった極端な見方も示されている。

このような仮説は現実的なシナリオではないものの、フォートノックスの金保有に関する透明性の欠如が市場で懸念されていることを反映していると考えられる。ビットコインと金の相対的な価値に関する議論は今後も続く見込みだ。

ブルームバーグのETFアナリストであるエリック・バルチュナス氏は、ウォーカー氏の大胆な予測に対して懐疑的な姿勢を示し、「このシナリオが現実になる確率をどの程度と見積もっているのか?」と問いかけた。市場関係者の間でも、フォートノックスの監査実施に対する見方は分かれている。

現時点では、アメリカ財務省や国防総省からフォートノックスの公開監査に関する公式な発表はない。そのため、監査が実施される可能性は不透明である。しかし、仮に監査が行われ、金の保有量が従来の報告と大きく異なる場合、市場に与える影響は無視できない。

特に、金の価格はフォートノックスの保有量に対する市場の信認に大きく依存しており、監査結果によっては価格変動が生じる可能性がある。また、「デジタルゴールド」とも称されるビットコインへの影響も考えられ、金に対する不信感が高まれば、資産の一部がビットコインにシフトする動きが加速する可能性も指摘されている。

BTC 価格

現在、ビットコインは9万6383ドルで取引されている。

佐々 道幸

日本版ICOBench編集者。2016年から仮想通貨投資を開始し、NFTへの投資経験も持つ。20年よりライターとしてのキャリアをスタートし、24年08月、日本版ICOBenchに参画。専門分野はクリプト、ブロックチェーン、Web3。

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