暗号資産(仮想通貨)のビットコイン(BTC)は23日、ドナルド・トランプ米大統領の発言を受けて急反発した。
ビットコイン価格はこの日、一時約9.3万ドル(約1320万円)まで上昇し、7週間ぶりの高値を記録した。投資家がトランプ氏の発言を好感した形だ。
トランプ氏の発言が市場心理を改善
トランプ氏は、これまで強硬姿勢を示していた中国に対する貿易関税について態度を和らげた。
さらに、最近示唆していたジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任要求も撤回した。
これらの発言は、激化していた貿易摩擦や中央銀行の独立性に対する市場の懸念を後退させる効果があった。
結果として市場心理は改善し、米国の株式市場とビットコイン価格が同時に上昇する展開となった。
この日のビットコインは約3.1%上昇し、経済見通しと金融市場に対する楽観的な見方が再び広がったことを反映している。
以前のビットコインは、米国の金融政策の不確実性や不安定なマクロ経済環境の中で、狭い価格帯での取引が続いていた。
しかし、トランプ氏の発言の変化が、市場が認識していたリスクを低減させ、価格反発のきっかけとなったようだ。
今回の反発にもかかわらず、ビットコイン価格は2025年初頭に始まった貿易戦争前のピークにはまだ達していない。
関税に関連する市場の混乱の影響が一部残っていることを示している。
ビットコインと米国株の連動性
ビットコイン価格の上昇は、米国株式市場の堅調な動きと連動していた。
これは、より安定した経済政策への期待感が市場全体の楽観論を支えたことを意味する。
この動きは、現時点でのビットコインが、純粋な安全資産としてではなく、依然としてリスク資産として市場に認識されていることを示唆している。
なお、週初めのビットコイン価格上昇には、トランプ政権によるFRBとの対立姿勢が引き起こしたドル安も一部影響していた。
ドル安は、ビットコインのような仮想通貨の魅力を相対的に高める要因となりうる。
一部のアナリストは、市場の楽観論はトランプ氏の発言だけでなく、複数の要因によって支えられていると指摘している。
2025年初頭、貿易戦争と関税引き上げが激化した時期には、ビットコイン価格は約8万4598ドル(約1201万円)から4月初旬には7万5004ドル(約1065万円)まで急落。
しかし、その後イースターの週末にかけて約8.9万ドル(約1263万円)まで回復しており、地政学的・マクロ経済的な課題の中での回復力を示していた。
今回の出来事は、ビットコインの価格動向が、米国の経済政策に影響を与える伝統的な金融市場のトレンドや地政学的な出来事に対して、ますます敏感になっていることを浮き彫りにしたと言えるだろう。
このような市場の変動の中で、ビットコインだけでなく、他のアルトコインへの関心も高まっている。
投資家は、ポートフォリオの多様化や仮想通貨 長期保有戦略の一環として、これらの動向を注視している。
また、資産を安全に管理するためのビットコインウォレットの選択も重要度を増していると言えるだろう。