スペイン第2位の銀行BBVAは7日、個人顧客向けに暗号資産(仮想通貨)の取引・保管サービスを開始した。
この新サービスは、同行のモバイルアプリを通じて提供される。利用者はアプリ内でビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を売買・保管でき、従来の銀行サービスと統合された形で利用可能だ。
自社インフラによる安全なサービス提供
BBVAの特徴は、第三者の取引所やカストディアンに依存せず、すべてのサービスを自社で管理している点にある。
同行は独自の暗号化インフラを活用し、仮想通貨の保管から取引までを一貫して手がけることで、資産セキュリティーを自社で完結させる体制を構築した。
今回のサービス開始は、スペイン証券市場委員会(CNMV)の規制要件を満たし、EUの仮想通貨市場規制(MiCA)に準拠している。
MiCAは欧州全域で利用者保護や運用基準を標準化する枠組みであり、これによりBBVAは規制を遵守した安全なサービスを提供可能だ。
同行は数週間前から段階的にサービスを展開しており、現在は成人顧客全員が利用できる。
デジタル資産戦略の拡大と今後の展望
BBVAは以前から仮想通貨分野への進出を進めてきた。
2021年にはスイスで富裕層向けにビットコインの取引デスクを設置し、2023年にはトルコの子会社ガランティBBVAを通じて、イーサリアムやステーブルコインなどへサービスを拡大していた。
同行のフランシスコ・マロト氏は、スペインがスイス、トルコに次ぐ3番目の市場であると述べている。
当初の取り扱いはビットコインとイーサリアムに限定されるが、今後は取り扱い銘柄の拡大や、証券・不動産を裏付けとしたトークン化商品の導入も計画している。
BBVAのゴンサロ・ロドリゲス氏は「安全で使いやすいアプリ体験を通じて、暗号資産へのアクセスを簡素化することが目標だ」と語った。