米金融大手のバンク・オブ・アメリカは11日、米ドルに連動するステーブルコインを開発していることを明らかにした。
バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOが同日、この計画を正式に認めた。開発は内部での取り組みと、業界パートナーとの協業の両方で進められているという。
以前には、JPモルガンなどの他の大手銀行との共同事業の可能性も示唆されていた。このステーブルコインは、従来の銀行口座のように機能するよう設計されている。
利用者に米ドルによって完全に裏付けられたデジタル資産を提供し、進化するデジタル金融の需要に応えることを目指す。
伝統金融の参入を促す市場環境
今回の動きの背景には、いくつかの要因が存在する。トランプ政権による後押しを含む法整備の動きが、大手金融機関にとってステーブルコイン分野への参入を現実的なものにした。
このような好意的な規制環境が、同行の決断を後押ししたとみられる。市場の力学も大きな影響を与えている。
ステーブルコインは過去1年間で数兆ドル規模の取引を処理しており、伝統的な銀行が活用したいと考える潜在的な顧客需要と業界の関心を示している。
これは、Web3ウォレットの普及によって、より多くの利用者がデジタル資産市場に参加しやすくなったことも一因である。
さらに、政府や軍関係機関がデジタル通貨の戦略的重要性に関心を示していることも、資産開発の論理的根拠を強めている。
デジタル資産分野への大きな一歩
この構想は、これまで暗号資産(仮想通貨)に対して慎重な姿勢を維持してきた同行にとって、大きな方針転換を意味する。
業界パートナーとの協業は、自行の技術力だけでなく、より広範な市場の知見を活用する狙いがある。これにより、確実な普及とシステム統合を目指すものと考えられる。
複数の銀行によるステーブルコイン構想はまだ具体化していない。しかし、今回の発表は、伝統的な金融機関がデジタル資産領域へ本格的に参入するための重要な先例となる可能性がある。
将来的には、既存の金融システムとDEXのような分散型プラットフォームとの連携も期待される。