Arbitrum DAO、STEP2で3500万ARBを米国債トークンに分配

私たちを信頼する理由
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トークン化された米国債を保管するデジタル金庫と未来的なブロックチェーンネットワーク

イーサリアム(ETH)レイヤー2のアービトルム(Arbitrum)分散型自律組織(DAO)は8日、Stable Treasury Endowment Program(STEP)の第2フェーズを正式に承認し、3500万ARB(約15億4250万円、1ARB=約440円換算)を米国債連動のトークン化資産に配分することを決定した

トークン化米国債への新たな資金配分

STEPプログラムは、ArbitrumDAOが2024年7月に開始した取り組みで、DAOの暗号資産(仮想通貨)をトークン化された現実資産(RWA)に多様化することを目的としている。

ビットコイン(BTC)をはじめとする先端のデジタル資産の活用も今後の分散投資の文脈で言及される可能性がある。

第1フェーズでは、3500万ARB(約11.6億円相当)が6つのトークン化資産に割り当てられ、約70万ドル(約1億150万円)の受動的な利回りを生み出した実績がある。

今回のSTEP 2では、DAOが50以上の提案から3つの機関向け米国債トークンに割り当てを決定した。

具体的には、投資運用企業フランクリン・テンプルトンのFOBXX(BENJI)、SpikoのUSTBL、ウィズダムツリーのWTGXXで、それぞれ35%、35%、30%の配分となる。

これらのトークンはいずれも規制下にある商品で、コンプライアンスや流動性、長期的な成長性に重点を置いている。

リスク評価と戦略的な分散投資

今回の配分決定では、単に手数料の低さや管理拠点だけでなく、既存の総預かり資産(TVL)やDAOにもたらす相乗効果、自然な資金流入の見込める商品を重視した。

RWA分野の拡大を狙うArbitrumは、自身のインフラを活用しつつ、機関投資家レベルの資産運用を目指している。

また、資金配分を広く分散しすぎず、成長余地やリターンの最大化を考慮したバランスの取れた割当が行われた。

これらの判断により、DAOはホワイトリスト管理や発行体との連携といったRWA特有の課題にも対応する方針だ。

Arbitrumの長期ビジョンと今後の展望

STEP 1と2、さらに追加のトレジャリー(資金)運用を合わせると、ArbitrumのRWA投資は8500万ARB(約374億円)を超えた。

STEP 1での投資運用企業のブラックロック、仮想通貨プロジェクトのOndo及びマウンテンプロトコルとの連携に続き、STEP 2は伝統的金融(TradFi)と分散型金融(DeFi)の架け橋としての役割を一段と強化する形となった。

RWAは資産管理会社による厳しい譲渡ホワイトリストの運用なども課題となるが、DAOは発行体と協力しながら対応する姿勢を示している。

今後もArbitrumは、オンチェーンでの機関投資家向け資産運用分野でリーダーシップを発揮していく見通しだ。

最後に、近年では仮想通貨投資の多様化も急速に進展しており、DAOの運用戦略にもこうした選択肢が一層反映されていきそうだ。

著者: 早下 光

暗号資産ライター。2019年からの仮想通貨市場経験を基に、ブロックチェーン技術の基礎から応用、最新ニュースまで、正確・深い情報で読者の理解をサポートします。