アブダビ投資会社(ムバダラ)はこのほど、ブラックロックの現物ビットコインETF「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」に約4億850万ドルを投資したことが明らかになった。
報告によれば、ムバダラはIBITの株式を872万6972株保有しており、2024年12月末の823万5533株から大幅に増加した。
ビットコインETFへの投資拡大と背景
IBITは2024年1月に取引開始した現物ビットコイン(BTC)ETFだ。同ETFはビットコインの価格に連動して運用され、運用資産残高ではブラックロックの金ETFを上回るなど、機関投資家の支持を集めた。
ビットコインは過去1年で約86%上昇し、2025年初頭には1BTCあたり約9万6000ドルを記録し、こうした動向が大口投資家の参入を後押しした。
とくに、アブダビのような政府系ファンドは、従来の資産クラスに加えて仮想通貨(暗号資産)への分散投資を進めている。
これは、国際的な金融都市としての地位を高めたいアブダビの政策と一致する。
アブダビの戦略と機関投資家の動き
ムバダラは2025年第1四半期だけでIBIT株を約49万1000株追加購入し、ビットコインへの強気な見通しを示した。また、アブダビの別の政府系ファンドであるADIAも約4億5500万ドルをIBITに投資し、連携して仮想通貨分野への関与を強めた。
ブラックロックは2023年末にアブダビで商業ライセンスを取得し、現地の政府系ファンドとの協力関係を拡大した。
アブダビ首長国はバーレーンの国家ビットコイン準備計画に代表されるように、仮想通貨フレンドリーな政策を次々と打ち出している。また、米国大統領選挙後に示された仮想通貨への前向きな政策も、機関投資家の投資マインドを刺激した。
仮想通貨と機関投資家の今後の展望
今回の投資開示は、アブダビが国家レベルで仮想通貨の採用を推進し、世界的金融ハブとしての競争力強化を図る戦略の一環である。
ビットコインETFの急成長は、仮想通貨が個人投資家の領域から機関投資家の資産運用に移行しつつある現状を象徴する。
今後も政府系ファンドによる動向が、グローバルな仮想通貨市場に大きな影響を与える可能性がある。