ビットコイン市場の清算規模、100億ドルの可能性を指摘か

暗号資産（仮想通貨）ビットコイン（BTC）は4日、9万1000ドル（約1370万円）付近で推移している。大規模な市場調整の中、清算規模の実態について新たな見方が示された。

市場調整の背景と影響

BTCは週末に12.5%下落し、9万1000ドルまで急落。米国が主要貿易相手国に対して新たな関税を導入する方針を示したことが、仮想通貨市場全体の下落を誘発した。イーサリアム（ETH）も35%以上下落し、2100ドルまで価格が下押しされた。

市場全体の時価総額は21%減少し、アルトコインは月間最安値を更新。この下落局面で、レバレッジ取引の大規模な清算が発生することとなった。

CoinGlass（コイングラス）の当初の報告では、24時間で74万3002人のトレーダーが清算され、総額は23億ドル（約2530億円）に到達。この中でETHの清算額が最も多く、6億3700万ドル（約700億円）を記録した。

しかし、バイビット（Bybit）のベン・ジョウCEOは、同取引所の24時間清算額だけで約21億ドル（約2310億円）に達したと明らかにした。これはコイングラスが記録した3億3300万ドル（約366億円）を大幅に上回る数値となっている。

ジョウCEOは、APIの制限により、すべての清算データが外部の集計システムに反映されていない実態を指摘。1秒あたりのデータ送信量に制限があるため、実際の清算規模は報告値を大きく上回る可能性があると説明した。

この制約を考慮すると、市場全体の実際の清算総額は80億ドル（約8800億円）から100億ドル（約1兆1000億円）に達する可能性がある。これはCOVID-19パンデミックやFTX破綻時の清算規模を超える水準となる。

バイビットは今後、清算データの完全な公開を開始する方針を示した。この動きは、仮想通貨市場における取引の透明性向上に寄与することが期待される。

市場参加者は、実際の清算規模が従来の想定を大きく上回る可能性を認識し、リスク管理の重要性を再確認する必要がある。特に、レバレッジ取引を行う際は、市場の急激な変動に備えた慎重な姿勢が求められる。

また、取引所間でのデータ報告の標準化や、より正確な市場データの収集・分析手法の確立が、今後の課題として浮き彫りになっている。