中国DeepSeekが揺るがす市場、ビットコインの役割とは

私たちを信頼する理由
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DeepSeekへの懸念が拡大するも、ビットコインは堅実に維持

ビットコイン(BTC)は経済危機時に安全な資産と見なされることが多い。分散型の性質を持つため、従来の金融制約から解放されるためだ。市場の混乱に対する緩衝材として捉える意見もある。

一方で、ビットコインを安全資産と見なすには不安定すぎるという声もある。価格変動が大きいため、信頼性を疑問視する人も多い。

ビットコインが解決する金融不安

世界的大手金融コンサルタント企業deVere Groupのナイジェル・グリーンCEOは、ビットコインを支持する立場にいる。ブロックチェーンの分散型の構造と供給量の制限が、金融不安に対する安全性と回復力を高めると考えている。

またグリーンCEOは、ビットコインが企業や政府から独立して運営できる点を魅力に感じている。

中国のAIが市場を揺るがす

中国のAI企業DeepSeek(ディープシーク)は、国際市場で大きな混乱を引き起こしている。同企業のAIは、米国の競合他社と比較して限りなく少ないリソースで開発され、人工知能(AI)開発競争を激化させる可能性がある。

このAIモデルの登場は技術セクターに大きな影響を与え、米国株式市場は数千億ドル規模の損失を被った。

例えば、先週のDeepSeek発表時、半導体メーカーのNvidia(エヌビディア)は過去最大の1日あたり5890億ドル(約88兆円)の損失を記録した。

グリーンCEOは投資家に対し、冷静さを保つよう助言している。同CEOは声明で、ビットコインは特定の企業や国の成功に依存しない特性を持つと主張。「今はパニックになる時ではなく、視点を持つべき時だ」と述べた。

グリーンCEOはビットコインの価値は強いと一貫して強調している。「歴史が示すように、価格変動の局面は、先見の明がある投資家にとって重要な投資機会を生み出す」と指摘する。

BTC日足チャート

ビットコインは2024年初頭のビットコインETF承認を経て好調に推移。本稿執筆時点(1月31日)で約10.45万ドルで取引されている

世界の技術バランスの変化

DeepSeekの台頭は、単なるAI企業の成功事例に留まらない。先端技術における世界的な勢力均衡の変化を示唆している。米国と中国間の覇権争いは、市場の不安定性を高めている。

貿易摩擦や地政学的対立といった世界経済の動向は、ビットコインが安全資産としての魅力を左右する要因となる。ビットコインは、ブレグジット(英国のEU離脱)や米中貿易戦争などの際に注目された。

しかし、ビットコインの価格変動は常に安定しているわけではなく、価格変動の大きさは依然として課題である。

ビットコインは安全資産

グリーンCEOは「ハイテク株とは異なり、ビットコインは特定の企業や国の業績に左右されない」と説明する。また、ビットコインは分散型で国境を超え、供給量が限られている点も指摘。

「ビットコインは、地政学的緊張や技術革新によって変化し続ける世界において、有利な立場にある資産だ」と述べた。

更に同氏は、地政学的緊張や経済競争は今後も激化する可能性が高いとの見方を示す中、ビットコインは構造的にこれらの外部要因から影響を受けにくいと主張。ビットコインは不確実な時代における安全な避難先となり得ると強調した。

By 佐々 道幸

日本版ICOBench編集者。2016年から仮想通貨投資を開始し、NFTへの投資経験も持つ。20年よりライターとしてのキャリアをスタートし、24年08月、日本版ICOBenchに参画。専門分野はクリプト、ブロックチェーン、Web3。

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