海外ドラマ「Breaking Bad」でハンク・シュレイダー役を演じた俳優ディーン・ノリスのXアカウントが25日、何者かに乗っ取られ、偽のミームコインを宣伝する投稿が行われた。
巧妙化する仮想通貨詐欺の新手口
ハッカーはノリスのアカウントを乗っ取った後、「DEAN」と名付けた偽コインの販売を開始した。

このコインは発売直後から急騰し、時価総額は約10億円(700万ドル)を超えた。しかし、その後急落し、投資家は95%の損失を被った。
攻撃者は投稿の信憑性を高めるため、ノリスが発売日とコインのシンボルが書かれたメモを持つ画像も投稿した。
さらに、有名人に動画メッセージを依頼できるプラットフォーム「Cameo」で、ノリス本人による告知動画も購入していた。
被害者本人が詐欺を否定
事態を重く見たノリスは数時間後、自身のXアカウントで「狂ったような仮想通貨の話は完全な詐欺だ。アカウントは乗っ取られていたが、今は取り戻した」と説明した。
さらにノリスは、自身がテレグラムアカウントを持っていないことも明らかにした。
「他の人のようにXに時間を費やしていないので、ハッキングされたことに気付かなかった」と述べ、友人からの連絡で事態を把握したという。
2度目の被害、専門家が関連性を指摘
実はノリスは2024年9月にも同様の手口で被害に遭っていた。その際は「SCHRADER」という偽のミームコインが宣伝された。
オンチェーン分析の専門家ZachXBTによると、元プロゲーマーでブロックチェーンセキュリティアナリストのオーストラリア人が、ノリスを含む複数のアカウント乗っ取りに関与していた可能性があるという。
SNSを悪用した仮想通貨詐欺の増加に警戒
今回の事件は、SNSを悪用した仮想通貨詐欺の手口が巧妙化していることを示している。
攻撃者は有名人のアカウントを乗っ取るだけでなく、本人の動画まで利用して投資家を欺く手法を取っている。
取引所や専門家は、有名人の突然の仮想通貨関連の投稿には細心の注意を払うよう呼びかけている。