バイオテクノロジー企業ウィンドツリー・セラピューティクスは24日、最大5億2000万ドルの資金調達契約を締結し、その99%を暗号資産(仮想通貨)の取得に充てる方針を明らかにした。
調達資金のうち、5億1800万ドルがバイナンスコイン(BNB)の購入に割り当てられる計画だ。
バイオ企業からデジタル資産への転換
同社は急性心不全などの治療薬開発を手がけるバイオ医薬品企業だが、今回の決定は財務戦略を大きく転換するものだ。
ジェド・ラトキンCEOは、この動きについて「財務の強靱性を高め、進化するデジタル資産のトレンドに適応するための先進的なアプローチ」と説明している。
この戦略は、長期的な価値向上を目的として企業の準備資産をデジタル通貨へ多様化させる試みといえる。
このような取り組みは、より広い業界動向とも一致している。
米証券取引委員会(SEC)がビットコインETFを承認したことで機関投資家の参入が加速し、仮想通貨を財務戦略に取り入れる伝統的企業が目立つようになった。
ウィンドツリー社の決定は、こうしたトレンドの一端を示している。
計画の課題と市場への影響
今回の計画には課題もある。特に5億ドルのエクイティ・ライン・オブ・クレジット(ELOC)を実行するには、発行済み株式総数の増加に関する株主総会での承認が必要であり、ガバナンス上のハードルとなる。
また、大規模な仮想通貨投資は企業の資産価値を大きく変動させる可能性を秘めている。
ウィンドツリー社は、仮想通貨市場の価格変動性や規制の不確実性、市場環境への依存といったリスクについても開示しており、投資家保護の観点から注意点を明確に開示した。
さらに同社は、本業である医薬品パイプラインの開発も継続するとしている。今回の戦略の成否は、BNB価格の動向や仮想通貨を取り巻く規制環境の安定性に左右される見通しだ。