シンガポール拠点のブロックチェーン企業BTC Digitalは17日、事業の中核資産をビットコイン(BTC)からイーサリアム(ETH)へ転換する方針を明らかにした。
イーサリアムへの転換を後押しした要因
今回の戦略転換の背景には、3つの主要な要因がある。
第1に、市場ポジショニング。イーサリアムのエコシステムはDeFi分野で急成長しており、機関投資家の採用も加速している。これにより、BTCよりも高利回りの機会が期待できると判断した。
第2に、財務戦略が挙げられる。BTC Digitalは健全な財務基盤と新たに確保した600万ドルを活用し、イーサリアムの準備金を積み上げていく方針を示している。2025年後半までに、数千万ドル規模のイーサリアム保有を目指すという。
第3の要因は、機関投資家の動向だ。規制の明確化が進み、RWAプロジェクトにおいてイーサリアムのスケーラビリティが評価されていることから、長期的に見てより有望な機関投資家向け暗号資産(仮想通貨)と見なされている。
事業モデルの変革と今後の財務目標
BTC Digitalは、イーサリアムのステーキングを通じて受動的な収益を確保するほか、イーサリアムを裏付けとした利回りプールの開発を計画している。
これにより、事業モデルは従来のBTCマイニングから、ステーブルコインの準備金管理やクロスチェーン技術を活用したオンチェーン資産運用者へと転換する。
同社は、2025年末までに仮想通貨の準備金を1000万ドル以上に拡大する方針を示しており、その大部分をイーサリアムが占める見通しだ。
今回の方針転換は、時価総額2608万ドル(約38億8592万円)の同社にとって、中期的な成長戦略の中核を成す取り組みといえる。