タイSECとタイ銀行(BOT)は17日、外国人観光客が暗号資産(仮想通貨)をタイバーツに両替できる全国規模の規制サンドボックスを共同で開始した。
この構想は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨を、認可された事業者を通じてタイバーツに換金することを許可するものだ。
以前プーケットで実施された試験的な取り組みを全国規模に拡大し、規制監督下で正式な枠組みへと移行させる。
🚨 THAILAND TO LAUNCH CRYPTO SANDBOX FOR TOURISTS
Visitors will be able to spend $BTC and crypto freely.
MEGA BULLISH!!! pic.twitter.com/ictn3zHWcd
— Kyle Chassé / DD🐸 (@kyle_chasse) July 17, 2025
プーケットでの成功と厳格な規制
観光客はSECから認可を受けた取引所やブローカーを介してデジタル資産を交換し、換金したバーツを規制された電子ウォレットやQRコード決済で利用することになる。
ただし、仮想通貨による直接決済は引き続き禁止されている。
このプログラムは、観光収入を押し上げ、タイを東南アジアにおけるフィンテック革新のハブとして位置付けることを目的としている。
この全国展開の背景には、2024年にタクシン・シナワット元首相が提案したプーケットでのサンドボックスの成功がある。
試験運用で観光と経済への好影響が示されたことが、全国への拡大を後押しした。
制度の信頼性を確保するため、タイSECとBOTは共同で厳格なガバナンス体制を敷いている。
マネーロンダリング対策や顧客確認の規則を徹底し、金融リスクを軽減する。
具体的には、小規模な店舗では月額5万バーツ、ホテルなど認証済みの事業者では月額50万バーツといった支出上限が設けられている。
これにより、利便性を高めつつも、不正利用のリスクを管理するバランスの取れた枠組みが構築された。
経済戦略としての位置づけと今後の展望
タイ政府は、仮想通貨に詳しい観光客を取り込むことで、コロナ禍で落ち込んだ観光業の回復を目指している。
円滑な両替手段を提供することで、デジタル資産を持つ旅行者を誘致する狙いだ。
今回の施策で特に注目されるのがビットコインの両替であり、今後の価格動向にも影響を与える。
また、スマートコントラクトの基盤として広く利用されるイーサリアムも対象となっており、幅広い投資家層の利用が見込まれる。
大手仮想通貨取引所バイナンスTHなどもこの枠組みを支持しており、地域的な実験から規制上の保護措置を備えた標準的なシステムに進化した点を評価している。
このサンドボックスは8月13日までパブリックコメントを募集し、承認された事業者は当初18ヶ月間参加する。
実績に応じて期間の延長も可能だ。
この取り組みは、仮想通貨投資に対する税制優遇措置など、タイが進める広範なデジタル金融改革の一環だ。
タイは、ASEANにおける仮想通貨導入のリーダーとしての地位を固めている。