ドバイを拠点とするエミレーツ航空は9日、大手暗号資産(仮想通貨)取引所Crypto.comと覚書を締結し、仮想通貨決済システムの導入を検討すると公表した。
同社はCrypto.com Payを決済システムに組み込む計画で、2026年のサービス開始を目指している。この提携は、顧客の支払い方法に柔軟性をもたらすことを目的とする。
2026年に向けた仮想通貨決済の導入
エミレーツ航空とCrypto.comの戦略的提携は、シェイク・アハメッド・ビン・サイード・アル・マクトゥーム会長兼CEO臨席のもとで署名された。
この合意により、航空券の支払いに仮想通貨が利用可能になる。計画では、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主要な仮想通貨に対応する。
同時に、米ドルやユーロといった従来の法定通貨での決済も引き続きサポートされる。決済は20種類以上の決済手段を提供するCrypto.com Payを通じて行われる。
エミレーツ航空副社長のアドナン・カジム氏は、この動きが顧客の嗜好の変化、特にデジタルに慣れ親しんだ若年層の旅行者の需要に応えるものだと強調した。
一方、Crypto.com社長のエリック・アンジアニ氏は、エミレーツ航空のような世界的な企業との提携が、仮想通貨の主流化を加速させる上で重要であると述べた。
ドバイのデジタル金融戦略と業界の動向
この提携は、ドバイを仮想通貨と金融技術の世界的ハブにしようとする同国の目標を後押しするものだ。
ドバイ政府は不動産や交通といった分野で仮想通貨の統合を積極的に支援している。これにより、仮想通貨海外取引所がドバイへ進出する動きも加速すると見られている。
エミレーツ航空は、シームレスなデジタル取引を重視する技術に精通した層の取り込みを目指している。航空業界で仮想通貨決済を導入するのは同社が初めてではない。
ラトビアのエア・バルティックは2014年から対応しているが、世界的な大手航空会社による導入は業界にとって大きな一歩となる。
具体的な導入スケジュールは2026年を予定しているが、対応する仮想通貨の詳細はまだ確定していない。
これは、ビットコインが約10万9489ドル台で取引されるなど、機関投資家による仮想通貨採用が広がる中で行われた。