知的財産(IP)のトークン化に特化したブロックチェーンプラットフォーム、Story Networkが9日、デジタルIDプロジェクトWorldとの提携を明らかにした。
この提携により、Story NetworkはWorld IDを自社のレイヤー1エコシステムに統合する。
統合は2025年秋に開始予定。検証された人間による所有権の証明は、IP取引における信頼構築の第一歩とされる。
AI時代のIP保護に向けた生体認証の活用
近年、高性能なAIツールが人間の作品と見分けがつかないコンテンツを生成するケースが増加している。これにより、IPの所有権が曖昧になり、なりすましや権利侵害のリスクが高まっている。
今回の提携は、こうした課題への対策が目的。World IDは、Tools for Humanityが開発したデジタルIDソリューションで、虹彩スキャンによる生体認証技術を用いる。
この技術により、ユーザーは、IPが人間によって創作されたことをオンチェーン上で検証できる。
これにより、IPの真正性が確保されるだけでなく、クリエイターは自身の作品に関する利用条件や支払い条件を明確に設定できるようになる。
こうした取り組みは、デジタルエコシステムの完全性を脅かすリスクへの対抗策と位置付けられている。
IPのトークン化とデジタル資産の未来
Story Networkは、IPをプログラム可能で流動性の高いデジタル資産へと変換しようとしており、そのビジョンを金融におけるビットコイン(BTC)のインパクトになぞらえている。
同社の仕組みでは、AIモデルやミーム、ゲームスキンなど多様なIPをトークン化し、異なるアプリケーション間でのリミックスや相互運用を可能にしている。
World IDとの統合は、AIによるIP侵害と戦うというStory Networkの取り組みをさらに拡大させる。クリエイターが自らの作品に対する主権を維持できる、安全な取引環境の構築を目指す。
こうした技術は、クリエイターエコノミーの活性化や暗号資産(仮想通貨)の普及に向けた取り組みの一環と位置付けられている。