スイスで金融市場監督庁(FINMA)の規制下にあるAMINA銀行は3日、リップル社が発行する米ドルペッグのステーブルコイン、RLUSDの取り扱いを開始した。
この提携により、AMINA銀行はRLUSDのカストディおよび取引サービスを提供する世界初の銀行となる。
規制準拠と機関投資家の信頼獲得
リップル社のRLUSDは2024年後半にローンチされ、米国債に1対1で裏付けられている。
ニューヨーク州金融サービス局やドバイ金融サービス庁など、複数の規制当局から承認を得ている点が特徴だ。
今回の提携は、ステーブルコインに厳格な透明性や準備金の要件を課すEUの暗号資産(仮想通貨)市場規制(MiCA)にも準拠している。
こうした規制への準拠は、機関投資家の信頼を得るうえで極めて重要だ。
AMINA銀行の規制下での運営実績と、リップル社のエンタープライズ向けソリューションが組み合わさることで、リスクを嫌う機関投資家にとって魅力的な選択肢となる。
RLUSDの時価総額は2025年6月時点で4億4000万ドルに達し、市場での初期の成功を示している。
欧州市場への拡大と今後の展望
AMINA銀行を通じたRLUSDの欧州市場への参入は、コンプライアンスを重視したステーブルコインへの需要の高まりに応えるものだ。特に、国境を越えた取引やDeFi分野での活用が期待される。
当初、AMINA銀行の顧客は基本的なカストディと取引機能を利用できるが、今後数カ月でサービスは拡充される予定だ。
AMINA銀行のマイルズ・ハリソン最高製品責任者は、リップル社の「透明性とコンプライアンスへの取り組み」が提携の決め手となったと述べた。
この動きは、2500億ドル(約36兆円)規模のステーブルコイン市場におけるリップル社の存在感を高めるものとなる。
同社はUSDTやUSDCといった主要ステーブルコインと競合しつつ、独自の決済ネットワークを活用し、世界的な普及を目指している。