人工知能(AI)開発企業のOpenAIは2日、証券取引アプリのRobinhoodが提供する自社のトークン化株式について、いかなる提携も承認もしていないと公表した。
Robinhood、欧州でトークン化株式サービスを開始
Robinhoodは2025年6月30日、欧州連合(EU)の利用者を対象にトークン化株式の取引サービスを開始した。
このサービスはArbitrumブロックチェーンを活用し、200以上の米国株式や上場投資信託(ETF)へのアクセスを提供する。
特筆すべきは、通常は個人投資家がアクセスしにくいOpenAIやSpaceXといった著名な非公開企業の株式もトークン化の対象に含まれていた点だ。
Robinhoodはサービス開始に伴うキャンペーンとして、適格な利用者に5ユーロ相当のトークンを配布し、利用者の拡大を図っていた。
OpenAIの公式な否定と潜在的リスク
この動きに対し、OpenAIは2日に公式声明を発表した。
同社は、「これらのOpenAIトークンはOpenAIの株式ではない。我々はRobinhoodと提携しておらず、それを承認しない」と述べ、関与を全面的に否定した。
さらに、OpenAIの株式譲渡には我々の承認が必要であると強調し、今回はその承認を与えていないことを明確にした。
非公開企業として、OpenAIは株式の分配や二次市場での売買を厳格に管理している。企業の承認なしに行われるトークン化は、法的な紛争や金融上の問題を引き起こすリスクをはらむ。
また、この一件はEUの証券法遵守に関する疑問も提起しており、企業の同意なしに発行されたトークンを購入する投資家が潜在的な脆弱性に直面する可能性を示している。
このような新しい投資形態には、未整備な法規制のリスクが伴うため、例えばICOとは何かといった基本的な知識を身につけることが重要である。
市場の革新と企業統治の衝突
Robinhoodは今回のサービスを、高成長が期待される非公開企業へのアクセスを個人投資家に提供し、競争の場を公平にするものだと位置づけていた。
株式だけでなく、新しい仮想通貨への投資も個人投資家の間で関心が高まっている。
しかし、OpenAIの反論は、分散型技術による市場アクセスの拡大という目標と、企業が自社の株式を管理する権利との間に存在する緊張関係を浮き彫りにした。
Robinhoodは将来的に、これらのトークン化株式を自社開発のブロックチェーンに移行し、24時間365日の取引実現を目指す計画だ。
この動きは、非公開企業が二次市場での活動を規制する上での課題をさらに深める可能性がある。
今回の対立は、伝統的金融とブロックチェーン技術、そして企業統治が交差するデジタル資産時代特有の課題を象徴する出来事といえるだろう。
このような背景から、暗号資産(仮想通貨)全体の動向にも注目が集まっている。