シンシア・ルミス米上院議員は1日、暗号資産(仮想通貨)に関する新たな税制改正案を提出した。
この修正案は、トランプ大統領の政策方針に沿った包括的予算法案、ビッグ・ビューティフル法案への追加を目指すものだ。
少額取引の非課税化と二重課税の解消
修正案の柱の一つは、少額取引に対する税負担の軽減である。300ドル未満の仮想通貨取引を非課税とし、年間上限を5000ドルに設定する。
これにより、日常的な利用者における報告義務の負担が軽減され、少額決済での仮想通貨利用が促進されると期待される。
さらに、ステーキングやマイニングで得られる報酬への課税方法も簡素化される。
現行の内国歳入庁(IRS)の規則では、報酬は受け取り時と売却時の2回課税されるが、修正案では売却時にのみ課税する方針だ。
この変更は、報酬を資産として扱い、二重課税問題を解消することを目的としている。修正案は仮想通貨の貸し出しやウォッシュセール、慈善寄付に関する税務問題にも対応する内容となっている。
業界の支持と法案成立への課題
現在の税制は、全ての取引記録を追跡・報告する必要があり、多くの個人が仮想通貨を利用する上での障壁となっている。
特にステーキングやマイニングにおける二重課税は、バリデーターやマイナーに不利益を与えていると指摘されてきた。
デジタル商工会議所などの業界団体は、IRSの現行方針を「長らく放置された過ち」と批判しており、ルミス議員の提案はこうした懸念に直接応えるものだ。
この修正案には、再生可能エネルギーを利用するビットコインマイナーへの税額控除も含まれており、持続可能な運営を奨励する狙いもある。
法案はまだ採決されておらず、最終的な法案に含まれるかは不透明だ。
しかし支持者らは、この改正が仮想通貨の利用を正常化し、デジタル資産課税に関する米国の基準を世界標準に合わせる一歩になると主張している。