香港政府は6月26日、新たな政策声明を発表し、現実資産(RWA)のトークン化推進や暗号資産(仮想通貨)ライセンス制度の整備が進められることが明らかになった。
この政策は、香港が世界有数の仮想通貨ハブとしての地位を確立するための重要な一歩と位置付けられる。
RWAトークン化とステーブルコイン規制
今回の仮想資産の発展に関する政策声明2.0は、2022年に策定された枠組みを更新する形で発表された。デジタル資産分野のイノベーション促進と規制強化の両立を目指す内容となっている。
主要な施策の一つは、RWAのトークン化推進だ。ブロックチェーン技術を活用し、国債やETFなどの金融商品のトークン化対象を拡大する計画が示された。
また、2025年8月1日に施行予定のステーブルコイン条例に基づき、発行者、ディーラー、カストディアンに対する新たなライセンス制度が導入される。これにより、ステーブルコイン市場の信頼性と安定性の向上が見込まれている。
監督は証券先物委員会(SFC)が担当し、取引所やカストディアンなどの事業者に対して厳格なガイドラインが適用される。リスク管理と投資家保護が優先される方針だ。
世界的な仮想通貨ハブを目指す戦略
香港はこの政策を通じて、世界の主要な仮想通貨ハブとしての地位を強化する狙いだ。シンガポールやアラブ首長国連邦などとの競争を念頭に、明確な戦略を打ち出している。
政策ではLEAPという原則が示された。これは法的明確性(Legal clarity)、エコシステムの成長(Ecosystem growth)、資産トークン化の革新(Asset tokenization)、人材育成(People development)の頭文字を取ったものだ。
明確なコンプライアンス枠組みの提示により、機関投資家や伝統的金融機関の呼び込みを図る。こうした環境整備は、仮想通貨市場全体の健全な発展に寄与する。
また、資産のトークン化は取引コストの削減、流動性の向上、透明性の強化といった経済的利点をもたらすとされている。これらの要素が金融市場での採用拡大を後押しする要因となっている。