暗号資産(仮想通貨)に特化した資産運用会社グレイスケールは24日、新たな単一資産投資信託、Space and Time Trustの提供を開始した。
この信託は、適格な個人および機関投資家を対象としており、Space and Time(SXT)ブロックチェーンのネイティブトークンであるSXTへのエクスポージャーを提供する。グレイスケールの既存商品と同様の仕組みで運営され、私募目論見書を通じて日々の申し込みが可能となっている。
AIとブロックチェーンを繋ぐ投資信託
Space and Timeは、マイクロソフトが支援するプロジェクトであり、ブロックチェーンが抱えるデータ計算能力の限界に対処することを目的とする。分散型データウェアハウスとオフチェーンでの推論を統合することで、高速なアプリケーションを支える。
従来のブロックチェーンとは異なり、分散型インフラとエンタープライズ級のデータ機能を組み合わせることで、AIやスマートコントラクト向けの検証可能なリアルタイムデータを提供する。このネットワーク内では、SXTが取引やデータ処理の決済手段として使用されている。
こうした仕組みを投資商品に組み込んだのが、グレイスケールが提供するSpace and Time Trustだ。
分散型インフラと規制された金融市場との間に橋を架けることを目指すグレイスケールの戦略を反映しており、将来性の高いAI関連の仮想通貨への投資機会を広げるものといえる。
AIとブロックチェーンの融合は大きな潮流となっており、Space and Timeが提供する検証可能なデータは、この分野における重要課題の解決に貢献している。
機関投資家の需要と市場の反応
グレイスケールの製品・リサーチ責任者レイハネ・シャリフ=アスカリ氏は、SXTが分散型ネットワークにおける信頼構築に重要な役割を果たすと述べた。
Space and Time Trustの提供開始を受け、市場ではSXTへの関心が高まり、価格は16%上昇した。SXTのような新興トークンは、早期に仮想通貨海外取引所に上場することで流動性を確保するケースが多い。こうした値動きは、AIや分散型コンピューティングといったトレンドに連動する期待の表れといえる。
グレイスケールは、伝統的な金融商品の構造を用いることで、規制を遵守しつつデジタル資産へのアクセスを投資家に提供するモデルを確立してきた。ビットコインETFへの転換を実現した実績もあり、規制市場での豊富な経験を持つ。
今回の信託設立は、同社がAIやエンタープライズシステムと統合されたインフラ主導の仮想通貨への戦略的転換を図っていることを示している。