米決済大手Visa(V)が19日、中東欧・中東・アフリカ(CEMEA)地域におけるステーブルコイン決済機能の拡大を明らかにした。
アフリカの暗号資産(仮想通貨)取引所、Yellow Cardとの戦略的提携を通じて、同地域でのデジタル決済の普及を加速させる。
ステーブルコイン導入の加速とVisaの実績
Visaは近年、ステーブルコインの導入を積極的に進めている。同社は5月、ステーブルコイン基盤の決済企業BVNKに出資するなど、ブロックチェーンを活用した次世代決済インフラの整備を強化してきた。
2023年には、USDコイン(USDC)を用いた決済の商用利用を開始。これまでに累計2億2500万ドル(約328億5000万円)を超えるステーブルコイン決済が同社のネットワークで処理された実績がある
VisaのCEMEA地域担当シニアバイスプレジデントである、ゴッドフリー・サリバン氏は「2025年には送金に関わるすべての機関がステーブルコイン戦略を必要とすると考えている」と述べ、将来の金融インフラにおけるステーブルコインの重要性を強調した。
同社はステーブルコインのみならず、ビットコイン(BTC)などの主要な暗号資産の動向にも注視している。
Yellow Cardとの提携でアフリカ市場へ展開
今回のYellow Cardとの提携は、アフリカ市場におけるVisaの存在感を一層高めるものだ。両社は国境を越えた支払い手段の提供、財務業務の効率化、流動性管理の向上などを目指す。
アフリカ大陸では、銀行インフラが未整備な地域も多く、仮想通貨を活用した支払い需要が高まっている。今回の動きは、こうした現地ニーズへの対応策といえる。
Yellow Cardの共同創業者兼CEOであるクリス・モーリス氏は「Visaと共に、我々は伝統的な金融と未来のお金の移動の間に橋を架けている」とコメント。加えて、「より安全で効率的、透明性の高い決済ソリューションを目指し、革新を続けていきたい」と、今後の展望を語った。
なおアフリカ市場では、リップル(XRP)などを活用した国際送金サービスの台頭が続いており、ステーブルコインを巡る競争も一段と激化している。