JPモルガン・チェースは6月17日、米ドル建ての預金トークンJPMDの試験運用を開始した。JPMDは、コインベースのBaseブロックチェーン上で、機関投資家向けの送金手段として活用される。
預金トークンJPMDの特徴
JPMDは、JPモルガンが保有する米ドル預金を裏付けとするデジタルトークンだ。即時かつ規制準拠の価値移転を実現するために設計されており、連邦預金保険公社(FDIC)の保険対象となる預金に支えられている。
現金準備金を担保とするステーブルコインとは異なり、銀行制度の枠組み内で運用される。当初は米ドル建てに限定されるが、将来的には他通貨への対応も計画されている。
ステーブルコインとの違いと優位性
JPモルガンのブロックチェーン部門Kinexysは、資金効率の高さや利回り提供の可能性において、預金トークンがステーブルコインより優れていると説明している。
加えて、ステーブルコインが既存の金融モデルに与える影響が懸念される中、JPMDは制度との整合性が高く、そのリスクを抑える設計となっている。
また、JPモルガンは今月初めにJPMDの商標を出願。デジタル資産取引や国際送金などへの事業拡大を視野に入れている。
Base採用の戦略的意図
今回採用されたBaseは、2023年にローンチされたイーサリアム(ETH)のレイヤー2ソリューションで、市場シェアが高く、ソラナと並ぶ高速処理を特長とする。
イーサリアムとの互換性も高く、機関投資家のオンチェーン展開にとって戦略的な基盤となる。
試験が完了すれば、JPMDによる24時間365日の送金が可能となり、預金の流動性をDeFiに展開する新たな選択肢となる。