トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(DJT)は日本時間6月17日、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)を組み合わせたETFを米証券取引委員会(SEC)に申請した。
これは、同社が暗号資産(仮想通貨)分野への関与を深める最新の動きとされる。
ETFの構成と名称
DJTがSECに提出したフォームS-1によれば、ETFの名称はTruth Social Bitcoin and Ethereum ETF、通称B.T.である。資産の75%をBTC、25%をETHに割り当てる構成となっている。
ETFのスポンサーはYorkville America Digital, LLC。仮想通貨取引所Crypto.com(シンガポール拠点)がカストディアン、執行代理人、流動性プロバイダーの役割を担う。
DJTはSECの承認を前提に、このETFをニューヨーク証券取引所Arcaに上場する計画である。今回の申請は、2025年6月に提出されたBTC単独ETFに続くもので、同社の仮想通貨戦略の進展を示している。
仮想通貨ETF市場における位置づけ
本ETFは、ブラックロック、フィデリティ、フランクリン・テンプルトンなどの大手資産運用会社が展開する既存商品と競合する見通しだ。これら企業が管理する仮想通貨資産は、合計で1310億ドルに達している。
DJTが仮想通貨に注力する背景には、トランプ一族と関係を持つWorld Liberty Financial社の存在がある。同社は資産の95%以上をイーサリアムブロックチェーン上で保有しており、ETHとの結びつきが深い。
さらに、Crypto.comによる執行と流動性管理体制の構築は、機関投資家への信頼醸成を狙った戦略といえる。BTCを75%、ETHを25%とする資産配分は、ビットコインの市場支配力とイーサリアムのDeFi分野における有用性を反映している。
承認プロセスと投資家への影響
このETFの上場には、提出済みのS-1フォームに加え、NYSE Arcaでの上場に必要なフォーム19b-4の承認が必要となる。2025年に提出されたBTC単独ETFがすでに受理されていることは、SECによる審査基準の緩和を示唆している。
本ETFは、現物のBTCおよびETHを直接保有する設計で、投資家は仮想通貨を自己管理することなく価格変動にエクスポージャー(投資的関与)を得られる。
ただし、仮想通貨市場に特有のボラティリティやセキュリティリスクなど、SECが注視する課題は残る。申請時点では、管理手数料や運用コストといった具体的な条件は開示されていない。
このようなETFは、仮想通貨を長期保有する戦略を取る投資家にとって、ポートフォリオ多様化の手段となり得る。