グアテマラ最大手銀行がUSDC活用の送金サービスを開始

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中南米の都市を背景にデジタルウォレットアプリを表示するスマートフォン

グアテマラ最大手銀行のバンコ・インダストリアルは22日、ブロックチェーン企業SukuPayと連携し、米国からグアテマラへの送金をUSDコイン(USDC)で即時に受け取れる新サービスを開始したと発表した

Zigiと呼ばれる同社のモバイルアプリを通じ、受け取りには電話番号のみが必要となる。

仮想通貨(暗号資産)ウォレットや国際銀行口座番号(IBAN)は不要で、利用者は複雑な手続きを経ずに資金を受け取ることができる。

USDCとポリゴンを活用した新たな送金インフラ

送金サービスは、SukuPayのブロックチェーン基盤とポリゴン(POLネットワークを活用している。

ポリゴンは高いスケーラビリティと低手数料が特徴で、USDCは米ドルと連動したステーブルコインだ。送金手数料は一律0.99ドル(約144円)で、従来型の国際送金に比べて大幅なコスト削減が見込まれる。

グアテマラは年間約210億ドル(約3兆660億円)もの送金を受け取っており、これは国内総生産(GDP)の約20%に相当する。こうした規模を背景に、迅速かつ低コストな送金サービスの需要が高まっている。

金融包摂と利便性の向上

グアテマラでは2022年の時点で成人の35%しか正式な銀行口座を持っていない。

Zigiのような電話番号ベースの送金システムは、銀行口座を持たない層にも金融サービスを提供し、金融包摂の拡大を志向している。

最近では、世界的にもアルトコインの技術が新しい金融インフラとして注目を集めており、各国の銀行や企業が導入を進めている。

利用者は仮想通貨やブロックチェーンの知識を持たずとも、アプリ経由で即時に資金を受け取れる設計となっている。

SukuPayのヨナタン・ラプチクCEOは「本格的な普及には、既存の金融システムとシームレスに統合され、ユーザーが特別な知識を必要としないことが重要」と述べている。

同銀行はグアテマラのみならず、ホンジュラスやパナマ、エルサルバドルにも展開しており、今後は中米全域の送金にも影響を与えるとみられる。

今回の提携は、伝統的金融機関がステーブルコインやブロックチェーンを本格活用し始めた象徴的な事例といえそうだ。

著者: 早下 光

暗号資産ライター。2019年からの仮想通貨市場経験を基に、ブロックチェーン技術の基礎から応用、最新ニュースまで、正確・深い情報で読者の理解をサポートします。