暗号資産(仮想通貨)取引所のバイビット(Bybit)は3日、新たな取引サービスの提供計画を発表した。
取引量で世界第2位とされる同社は、取り扱い資産を大幅に拡充する方針だ。
Bybitのベン・チョウ(Ben Zhou)CEOによると、今四半期末までに、ユーザーは株価指数、金、原油、そしてアップルやマイクロソフト、ストラテジーといった米国株式を直接取引できるようになるという。
伝統的金融資産へサービス拡大
今回の計画には、金融取引プラットフォームのメタトレーダー(MT5)上でのレバレッジ取引の導入も含まれる。
特に金取引では最大500倍のレバレッジが可能となり、高いリスク許容度を持つトレーダーにとって魅力的な選択肢となるだろう。
Bybitのこの動きは、仮想通貨投資家だけでなく、伝統的な金融資産に関心を持つ層まで顧客基盤を広げようとする同社の意欲を反映している。
この戦略的転換の背景にはいくつかの要因がある。まず、金融業界全体で伝統的金融(TradFi)とアルトコイン市場の融合が進んでいる点が挙げられる。
個人投資家、機関投資家双方の間で多様な投資選択肢への需要が高まっていることが、この流れを後押ししている。
次に、金のような人気資産でレバレッジ取引が可能になることは、こうした取引手法に慣れている伝統的なトレーダーを引きつける可能性がある。
さらに、Bybitのサービス拡充は、仮想通貨と伝統的金融商品の両方を提供するロビンフット(Robinhood)のような金融取引プラットフォームとの競争を意識したものと考えられる。
Web3機能強化とセキュリティへの懸念
Bybitの2025年のロードマップは、ユーザー体験の向上と、堅牢なツールおよび流動性の提供に重点を置いている。
伝統的金融資産の追加に加え、同社はWeb3機能の強化も進めており、オンチェーン資産管理や分散型金融(DeFi)の統合を目指している。
米国株、コモディティ(市況商品)、株価指数をプラットフォームに追加することで、Bybitは競争の激しい市場でのシェア拡大を狙う。
多くの仮想通貨取引所が、自社で発行する独自のデジタル資産(ネイティブトークン)以外にも目を向け始めている状況だ。
しかしながら、過去にはセキュリティに関する事件も発生している。
例えば、2025年2月に起きたとされるサイバー攻撃グループのラザルスグループ(Lazarus Group)によるハッキング事件などが挙げられる。
こうした過去の事例は、同社が今後サービスを拡大していく上で、取引の安全性に対する懸念材料として残る可能性がある。
同社の動きは、ユーザーに多様な仮想通貨 投資の選択肢を提供するとともに、従来の金融市場との連携を深める戦略の一環と見られる。
また、将来的にAI 仮想通貨のような新しい分野への進出も視野に入れている可能性がある。