アリゾナ州のケイティ・ホッブス知事は3日、州レベルのビットコイン(BTC)準備金設立を目指す法案(SB 1025)に拒否権を発動した。
この法案は州下院で31対25の票決を経て可決され、米国内で進展を見せた取り組みの一つであった。
知事、リスクを懸念
ホッブス知事は声明で、州政府は暗号資産(仮想通貨)といった「未検証の投資」を公的資産管理に含めるべきではないと述べた。
特に、ビットコインの激しい価格変動や規制の明確性の欠如により、退職年金資産などの公的資金が危険にさらされる恐れがあると指摘している。
さらに、知事は拒否権行使の理由として障害者支援資金に関する未解決の論争を挙げた。
また、超党派の合意に至らない法案には署名しない姿勢を示している。 ホッブス知事は、財政的リスクがあると判断される法案を阻止する傾向にあり、2025年だけで既に75件の拒否権発動が確認され、2024年の合計を上回っている。
法案の内容と背景
SB 1025は「アリゾナ戦略的ビットコイン準備金法」と称され、州財務長官と公的年金制度に対し、管理資金の最大10%をビットコインおよび他の仮想通貨に投資する権限を認めるものであった。
この法案が成立すれば、アリゾナ州は米国で初めてビットコインを公式な準備金に組み入れることとなるはずである。
本法案は、没収資産や州資金を活用し、デジタル資産準備金の構築を特定の監督体制下で提案している。
また、州財政における仮想通貨導入を目指す広範な立法努力の一環として提出された。
関連法案と全米の動向
州の緊急時基金の最大10%を仮想通貨に投資することを認めるSB 1373という関連法案が存在するが、修正案が未解決なため現在は保留中である。
全米では、2025年に20以上の州で同様の仮想通貨準備金法案が議論される見通しだが、現時点で成立例は見受けられない。
今回の拒否権発動は、デジタル資産を公的金融システムに統合する動きに対し、仮想通貨推進派と政策立案者との間で緊張が高まっている現状を浮き彫りにした。
今後、仮想通貨の長期保有の観点から、州準備金への組み入れ議論が再燃する可能性がある。