米国のハワード・ラトニック商務長官はこのほど、ビットコイン(BTC)のマイニング事業者による独自電力インフラ構築を許可する構想を明らかにした。
米国はビットコインマイニング分野での存在感を増しており、業界の成長と効率化を目指す動きが活発化している。
今回の構想は、マイニング事業におけるエネルギーコストの削減と公共電力網への依存低減を主な目的とするものである。
具体的には、マイニング事業者が天然ガス田の近くに自前の発電所やデータセンターを建設することを想定している。
これにより、エネルギー供給の安定化とコスト効率の向上が期待される。
米国投資アクセラレーターの影響
この戦略を後押しするのが、トランプ大統領の大統領令によって設立された「米国投資アクセラレーター」イニシアチブである。
同イニチアチブは、規制プロセスを簡素化し、10億ドル(約1430億円)を超える大規模投資を促進することを目指している。
ビットコインマイニングのような資本集約的なプロジェクトは、この制度の恩恵を受ける可能性が高い。
エネルギー自律性と経済・環境への配慮
米国政府がこの戦略を推進する背景には、複数の要因が存在する。
第一に、マイニング事業者のエネルギー自律性を高め、運用上の柔軟性向上とコスト削減を図ることだ。これは、電力価格の変動リスクを軽減することにも繋がる。
第二に、マイニングセクターへの投資を刺激し、新たな雇用創出や技術革新を通じて経済成長に貢献することも狙いの一つである。
特に、エネルギーインフラへの投資は、関連産業への波及効果も期待される。
これはビットコインだけでなく、将来性のあるアルトコインへの投資機会も広げる可能性がある。
また、得られた暗号資産(仮想通貨)を長期保有する戦略も注目されている。そのため、信頼できる仮想通貨ウォレットの選択が投資家にとって重要となるだろう。
さらに、環境への配慮も重要な要素だ。
天然ガス田から排出される、従来は大気中に放出されていた余剰ガス(フレアガス)をマイニングの電力源として活用することで、温室効果ガスの排出を抑制し、環境負荷を軽減する狙いがある。
企業動向と市場への影響
こうした政府の動きを受け、関連企業の活動も活発化している。
マイニング企業のCleanspark社はテネシー州で新施設の承認を間近に控えており、Vinanz社もインディアナ州での事業拡大を計画中である。
また、機関投資家の関心も高まっている。
エリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏は、米国を代表する大手ビットコインマイナーを目指すAmerican Bitcoin Corp.を立ち上げ、戦略的なビットコイン備蓄の構築も視野に入れている。
米国はすでに、世界のビットコインマイニングにおけるハッシュレート(計算能力の合計値を示す指標)で大きなシェアを占めている。
今回の一連の取り組みは、安価で安定したエネルギー供給と規制緩和を通じて、米国のマイニング業界における優位性をさらに強化するものと見られている。