Block(ブロック)社CEOのジャック・ドーシー氏は12日、ビットコイン(BTC)が本来の目的から逸脱し、将来役割を失う恐れがあると警告した。
ビットコインの本来の目的からの乖離を懸念
元Twitter共同創業者で現Block社CEOのジャック・ドーシー氏は、これまでビットコイン支持者として知られている。彼は暗号資産(仮想通貨)業界で、ヴィタリック・ブテリンやチャールズ・ホスキンソンと共に影響力を発揮してきた。
しかし最近、「すべての仮想通貨の母」と称されるビットコインへの情熱は薄れ、その将来性に疑問を呈している。
ドーシーの懸念は、ビットコインが日常生活で果たす役割にある。ビットコインは、本来サトシ・ナカモトによって「決済手段」として開発されたが、現状では支払い機会が限られ、主に投機対象や価値保存手段として機能している。
ドーシー氏は、この状況が日常生活における関連性から大きく乖離していると指摘する。この見解は、マイケル・セイラー氏など一部支持者が説く「デジタルゴールド」理論と対立している。セイラー氏はビットコインを「デジタルゴールド」として位置づける確固たる信念を示す。
企業としてのビットコイン投資と普及活動
セイラー氏と異なり、ドーシー氏は急進的な変化を求めているわけではない。彼は、ビットコインが本来の目的、すなわちサトシ・ナカモトが構想した「第三者(銀行など)を介さずに直接お金(ビットコイン)を送金できるピア・ツー・ピア電子キャッシュシステム」に回帰すべきだと提言している。
興味深いことに、セイラーのStrategy社(旧MicroStrategy)とドーシーのBlock社は共通の特徴を有している。両社はビットコインを保有し、世界で最も多くのビットコインを保持する10社に数えられる。
Strategy社は約50万ビットコインを保有している。セイラーは2020年に同社の事業をビットコイン中心へ転換し、2022年以降は現金資産すべてをビットコインで運用している。一方、Block社は毎月の粗利益の約10%をビットコイン投資に充て、現在約8万400ビットコインを保有している。
自社ビジネスとビットコイン普及の関係
ドーシー氏がビットコイン普及を推進する背景には、自社事業の利益確保がある。Block社は決済・金融サービス企業として、小売業向けカードリーダーなどハードウェアや、決済・金融管理ソフトウェア(Cashappなど)を提供している。
また、同社はビットコイン採掘事業を展開し、独自のマイニングシステムを開発している。2023年には自社開発の3ナノメートルチップ試作品を発表し、大手採掘企業Core Scientificから大口注文を受けた。さらに、Block社はBitkeyという名称で、ビットコインなど仮想通貨を安全に保管できるコールドウォレットを提供している。
最近、ドーシーはメッセンジャーアプリSignalにビットコインをピア・ツー・ピア決済システムとして統合することを提案した。このように、ドーシーのビットコイン普及活動は、Block社の多角的事業戦略と密接に連携している。