暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)の年間インフレ率を約80%削減する提案「SIMD-0228」は14日、投票で必要な承認しきい値に達することができず、否決された。
この提案は、現在約4.5%のSOLの年間インフレ率を最低0.87%まで引き下げることを目指す提案。固定インフレ率から、ステーキング参加率に基づく動的なモデルへの移行を図るものだった。
🚨 BREAKING: Solana’s SIMD-228 proposal to cut SOL inflation by 80% annually has failed in a highly polarized vote. It was a close call, with a record 74% stake voting, one of the highest participation in Solana's governance history. pic.twitter.com/pQIqdp7Tgf
— SolanaFloor (@SolanaFloor) March 14, 2025
インフレ削減案の背景
SIMD-228は、新規発行トークン量を制限することでSOL価格の安定化を図り、将来的な金融商品開発を容易にすることを目的としていた。
具体的には、ステーキング参加率を50%に設定し、高い場合は報酬が減少、参加率が低い場合は増加する動的モデルを提案。この仕組みは、市場状況の変化に適応しながら経済的バランスを維持することを目指してる。
動的インフレモデルの採用前に、ソラナ開発者はいくつかの代替案を検討。選択されたアプローチは、エコシステム内の柔軟性と持続可能性を高めるよう設計されていた。
投票の反応
2025年3月中旬の時点で、ソラナのバリデーター(検証者)の約35.7%から37.5%が支持を表明し、約17.2%が反対していた。
支持派の中には、大手バリデーターやソラナのアナトリー・ヤコベンコ共同創設者などのエコシステム内の影響力のある人物たちで、ソラナの進化に必要な措置だと見なしていた。
一方で、インフレとステーキング報酬の大幅な削減は、小規模バリデーターの経営を圧迫し、ネットワークの分散化を損なう可能性があるとの懸念があった。
パイン・ステークなどの小規模バリデーターは、提案がコスト増加と収益性低下をもたらす可能性について懸念を表明。小規模バリデーターが事業から撤退すれば、ネットワークがより中央集権化し、少数の企業がネットワークの検証力の大部分を支配する状況になりかねないとの警告もあった。
今回の投票は否決されたものの、SOLのインフレ率と分散化のバランスをどう取るかという課題は、ソラナエコシステムにとって引き続き重要な検討事項となっている。
また今回の結果は、ソラナコミュニティにおける多様な利害関係者の存在と、分散型自立組織(DAO)におけるガバナンスの難しさを浮き彫りにした。