暗号資産(仮想通貨)の税金はイメージがしにくいため、具体的なシミュレーション結果を見ることが理解の近道だったりします。自分に近い状況を確定申告前に把握しておくことで、仮想通貨の利益にかかる税金計算の際にヒントになります。
そこで本記事では仮想通貨の税金シミュレーションを利益額、年収別に紹介していきます。仮想通貨(ビットコイン)の確定申告で役立つ、税金自動計算におすすめの計算ツールやアプリも紹介しますので、「仮想通貨の利益・税金は自動で計算して乗り切りたい」「ビットコインを売却した場合の具体的な税金シミュレーションが見たい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
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仮想通貨の税金に関する基本事項をおさらい
具体的な仮想通貨の税金シミュレーションを見る前に、まずは仮想通貨にかかる税金の基本を復習しておきましょう。ここでは以下の2つを順番に確認します。
- 仮想通貨の税率と計算方法
- 仮想通貨の確定申告
仮想通貨の税率と計算方法
仮想通貨の利益は「雑所得」に分類され、総合課税の対象となります。これは給与所得など他の所得と合算して税率が決まる仕組みです。日本の仮想通貨税率は所得税と住民税を合わせて最大55%に達します。所得税は累進課税制度を採用しており、所得が増えるほど税率も上昇します。
以下は仮想通貨(ビットコイン)など所得にかかる税率表です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 9万,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 279万6000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6000円 |
これに住民税10%と復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わるため、最大税率は55.945%となります。ミームコインで大きく利益を出しても、高額な税金がかかる可能性があるのが現状です。
仮想通貨の確定申告
仮想通貨取引で得た利益は「雑所得」として課税対象となり、一定の条件を満たすと仮想通貨の確定申告が必要です。給与所得者(会社員・公務員など)の場合、仮想通貨取引による所得が年間20万円を超えると確定申告が必要となります。
一方、給与所得がない学生や主婦(夫)などは、仮想通貨所得を含むすべての所得の合計が48万円を超えた場合に確定申告が必要です。
確定申告の期限は例年3月15日頃までとなっています。
確定申告の手順は以下の通り。
- 仮想通貨の所得を算出する
- 確定申告書を作成・提出する(紙またはe-Tax)
- 税金を納付する
納税方法の選択肢としては、以下があります。
- 口座振替やe-Taxでの電子納税
- クレジットカード決済
- 30万円以下ならコンビニ払いやスマホ決済アプリも利用可能
なお、未申告や申告漏れが発覚した場合は、追徴課税(延滞税や加算税など)が課される可能性があるため注意が必要です。仮想通貨の税金に抜け道はありません。
仮想通貨の税金シミュレーション【利益100万〜1000万】
ここでは、仮想通貨取引のみの収入がある場合の税金シミュレーションを、利益額別に詳しく解説します。仮想通貨利益が100万円〜1000万円のレンジで、100万円ずつ順番に見ていきます。気になるところだけ展開して詳細を見てみてください。
仮想通貨の利益は雑所得に分類されるため、それを前提として税金シミュレーションしています。
仮想通貨利益が100万円の場合
利益が100万円の場合、税金は約7万8000円かかります。
所得100万円から基礎控除48万円を差し引いて残った52万円が課税所得となります。この場合の所得税率は5%であるため、所得税額は2万6000円になります。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約7万8000円の税金が発生します。手取り額は約92万円となります。
仮想通貨利益が200万円の場合
利益が200万円の場合、税金は合計22万9596円かかります。
所得200万円から基礎控除48万円を差し引いた152万円が課税所得となります。所得税率は5%で、所得税額は7万6000円。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約22万9596円の税金が発生します。手取り額は約177万0404円となります。
仮想通貨利益が300万円の場合
利益が300万円の場合、税金は合計40万9744円かかります。
所得300万円から基礎控除48万円を差し引いた252万円が課税所得となります。所得税率は10%で控除額9万7500円があるため、所得税額は15万4500円となります。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約40万9744円の税金が発生します。手取り額は約259万256円となります。
仮想通貨利益が400万円の場合
利益が400万円の場合、税金は合計63万4306円かかります。
所得400万円から基礎控除48万円を差し引いた352万円が課税所得となります。所得税率は20%で控除額42万7500円があるため、所得税額は27万6500円となります。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約63万4306円の税金が発生します。手取り額は約336万5694円となります。
仮想通貨利益が500万円の場合
利益が500万円の場合、税金は合計93万8506円かかります。
所得500万円から基礎控除48万円を差し引いた452万円が課税所得となります。この場合の所得税率は20%であり、控除額42万7500円を税額から差し引けます。452万円 × 20% - 42万7500円 = 47万6500円が所得税額となります。
これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約93万8506円の税金が発生します。手取り額は約406万1494円となります。
仮想通貨利益が600万円の場合
利益が600万円の場合、税金は合計124万2706円かかります。
所得600万円から基礎控除48万円を差し引いた552万円が課税所得となります。所得税率は20%で控除額42万7500円があるため、所得税額は67万6500円となります。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約124万2706円の税金が発生します。手取り額は約475万7294円となります。
仮想通貨利益が700万円の場合
利益が700万円の場合、税金は合計154万6906円かかります。
所得700万円から基礎控除48万円を差し引いた652万円が課税所得となります。所得税率は20%で控除額42万7500円があるため、所得税額は87万6500円となります。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約154万6906円の税金が発生します。手取り額は約545万3094円となります。
仮想通貨利益が800万円の場合
利益が800万円の場合、税金は合計186万8565円かかります。
所得800万円から基礎控除48万円を差し引いた752万円が課税所得となります。所得税率は23%で控除額63万6000円があるため、所得税額は109万3600円となります。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約186万8565円の税金が発生します。手取り額は約613万1435円となります。
仮想通貨利益が900万円の場合
利益が900万円の場合、税金は合計220万3395円かかります。
所得900万円から基礎控除48万円を差し引いた852万円が課税所得となります。所得税率は23%で控除額63万6000円があるため、所得税額は132万3600円となります。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約220万3395円の税金が発生します。手取り額は約679万6605円となります。
仮想通貨利益が1000万円の場合
利益が1000万円の場合、税金は合計259万1317円かかります。
所得1000万円から基礎控除48万円を差し引いた952万円が課税所得となります。所得税率は33%で控除額153万6000円があるため、所得税額は160万5600円となります。これに復興特別所得税と住民税を加えると、合計約259万1317円の税金が発生します。手取り額は約740万8683円となります。
このように仮想通貨投資の収入のみの場合は、収入額が48万円を超えると税金が発生するようになり、金額が増えるほど負担(税率)が高くなることがわかります。確定申告の際には、これらの税率を踏まえて適切に申告することが重要です。
仮想通貨の税金シミュレーション【年収200万〜1000万】
仮想通貨取引による利益に対する税金は、あなたの年収によって大きく変わります。同じ利益額でも、年収が高いほど適用される税率が上がるため、支払う税金も増加します。以下では、サラリーマンの方向けに、給与年収別に仮想通貨取引で得た利益に対する税金を計算・シミュレーションしていきます。
年収200万円の場合
年収200万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
年収が低いため、適用される税率も低く、支払う税金も比較的少なくなります。
年収300万円の場合
年収300万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
年収300万円の場合、仮想通貨の利益が増えるにつれて、適用される税率も上がっていきます。
年収400万円の場合
年収400万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
年収500万円の場合
年収500万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
年収600万円の場合
年収600万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
年収700万円の場合
年収700万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
年収800万円の場合
年収800万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
年収900万円の場合
年収900万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
年収1000万円の場合
年収1000万円のサラリーマンが仮想通貨取引で利益を得た場合の税金シミュレーションです。
仮想通貨で大きく稼いだ場合の税金シミュレーション
ここでは仮想通貨で大きく稼いだ場合の税金シミュレーションを行っていきます。分かりやすさ重視のため、給与年収500万円のサラリーマンが仮想通貨取引で様々な金額の利益を得た場合の税金計算シミュレーションを見ていきましょう。
利益が500万の場合
給与年収500万円に加えて、仮想通貨取引で500万円の利益を得た場合、総所得は1000万円となります。この場合の税金は約204万円となります。
利益が1000万の場合
仮想通貨取引で1,000万円の利益を得た場合、総所得は1,500万円となります。この場合の税金は約396万円です。
利益が2000万の場合
仮想通貨取引で2,000万円の利益を得た場合、総所得は2,500万円となります。税金合計は約818万円となります。
利益が5000万の場合
仮想通貨取引で5,000万円の利益を得た場合、総所得は5,500万円となります。仮想通貨の利益が5,000万円ともなると、所得税の最高税率45%が適用され、約2,426万円が合計の税額となります。
利益が1億の場合
仮想通貨取引で1億円の利益を得た場合、いわゆる「億り人」になります。この場合の税金は非常に高額になり、約5,212万円が税金合計となります。
仮想通貨の税金計算でおすすめのツール・アプリ
ビットコインなど仮想通貨の税金計算は非常に煩雑であるため、ここではおすすめの計算ツールを2つご紹介。いずれも日本国内で広く使われているアプリで、ビットコインなどの確定申告に多様されている計算ツールです。
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仮想通貨の税金計算に悩む投資家におすすめなのが「クリプタクト」です。15万人以上のユーザーに選ばれている自動損益計算ツールで、最短1分で税金額を自動計算できます。2024年12月には、給与所得や家族構成、各種所得控除を考慮した「仮想通貨の税金計算サイト」も新たにリリースされました。
クリプタクトの主な特徴は以下の通りです。
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総合課税の対象となる仮想通貨所得は、給与所得などと合算して最大55.945%もの税率がかかる可能性があります。クリプタクトを活用すれば、確定申告の準備をスムーズに進めるだけでなく、節税対策を考慮した取引計画も立てやすくなります。
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仮想通貨の税金計算ツールの中でも無料プランの適用範囲が広く、取引件数100件まで利用することが可能なのは嬉しいポイント。上場予定の仮想通貨を扱うと税金計算が煩雑になりやすいですが、Gtaxであれば安心して確定申告を迎えられます。
ビットコインの確定申告の税金計算にもおすすめです。
まとめ
本記事では仮想通貨の税金シミュレーションを利益額、年収別に紹介し、仮想通貨の確定申告で役立つ、税金自動計算におすすめのツールやアプリも紹介してきました。
仮想通貨の損益計算は非常に煩雑であるため、アプリを用いるのが鉄則です。プレセール仮想通貨など「仮想通貨で仮想通貨を購入する」タイミングでも税金がかかってくる可能性があり、初心者にとっては複雑です。
ツールを利用するにせよ、事前に仮想通貨の確定申告での計算方法を理解しておくようにしましょう。本記事で紹介している1000倍仮想通貨などは利益が大きくなりやすいですが、適切に確定申告を行うようにしてください。せっかくおすすめ仮想通貨で利益を上げても、脱税で損をしては元も子もありません。仮想通貨のエアドロップに参加した場合も確定申告の対象になることがあるので、こちらも注意しておきましょう。