米国際貿易裁判所の3人の判事は28日、ドナルド・トランプ大統領が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて課した「相互関税」について、大統領権限を逸脱したものとして無効化する判決を全会一致で下した。
関税政策の無効化と背景
裁判所が無効化した関税には、カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税、その他の国からの商品に対する20%の関税、そして4月2日に大統領令第14257号により発効した全輸入品に対する10%の「一般従価税」が含まれていた。
裁判所は、これらの措置がIEEPAの緊急事態条項の下では正当化されないと判断し、関税の無効化と既に徴収された関税の返還を命じた。
判事らは、トランプ大統領の「緊急事態」の主張には具体的な正当性が欠けており、同法は一般的な貿易協定の相互主義ではなく、直接的な経済的脅威を要求していると結論付けた。
この判決は、貿易交渉の手段として関税を活用するトランプ大統領の戦略を根本的に損なうものとなった。関税は実施期間中に貿易摩擦を激化させ、マクロ経済の不確実性を高めていた。
仮想通貨市場への影響と価格予測
アナリストらは、この判決がシステミックリスクを軽減し、ビットコイン(BTC)に対する強気のセンチメントを生み出していると分析している。
仮想通貨取引所スウィフトックス(Swyftx)のパブ・ハンダル氏は、ビットコインが12万ドルに向けて急騰する可能性があると予測し、「不可逆的な勢い」と潜在的な市場の再配置を理由に挙げた。
ビットコインの価格は2月から5月にかけて、部分的には貿易戦争への懸念により10万ドルを下回って推移していた。しかし、5月22日には史上最高値の11万1970ドル(約1612万円)に達し、現在は10万7750ドル(約1552万円)付近で取引されている。
トランプ政権は控訴を申し立てているが、アナリストらは裁判所の判決が既に投資家心理を変化させたと指摘している。新たな関税が提案されたとしても、「貿易交渉に開けられた穴」は持続する可能性があるという。
この判決は、トランプ大統領の貿易戦争戦術を停止させ、中国、カナダ、メキシコなどとの米国の交渉を再構築する可能性がある。
この変化により、世界市場への圧力が緩和されることで、暗号資産(仮想通貨)市場全体にも好影響が期待される。