リップルとSEC、5年越しの訴訟終結へ|和解案を共同要請

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私たちを信頼する理由
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天秤に乗ったリップルのシンボルと裁判官の木槌。SECとリップルの和解を象徴する画像。

米証券取引委員会(SEC)とリップル社は12日、約5年間にわたる訴訟の終結に向け、1億2,500万ドル(約180億円)規模の和解案の承認をマンハッタン連邦地裁に共同で要請した

この動きは、暗号資産(仮想通貨)業界の規制の方向性に大きな影響を与える可能性があり、市場関係者から高い関心を集めている。和解が成立すれば、長きにわたる法的な不確実性が解消されることになる。

和解案の具体的な内容

今回の共同要請の中心となるのは、リップル社が支払うとされる1億2,500万ドル(約180億円)の課徴金だ。この金額は、SECが当初要求していた約20億ドル(約2,880億円)から大幅に減額されたものとなる。

リップル社は、SECが要求する高額な課徴金に対して「不合理である」と反論を続けていた。今回の和解案は、両者が交渉を重ねた末の妥協点とみられる。裁判所がこの和解案を承認すれば、訴訟は正式に終結する。

この和解には、課徴金の支払いだけでなく、将来のXRPの販売に関する取り決めなども含まれている可能性がある。詳細な条件は、裁判所の承認を経て公開される見通しだ。

長期にわたる法廷闘争の経緯

SECとリップル社の法廷闘争は、2020年12月に始まった。SECは、リップル社とその幹部が、同社のネイティブトークンであるリップル(XRP)を未登録の有価証券として販売し、13億ドル以上を調達したことが証券法違反にあたると主張して提訴した。

これに対しリップル社は、XRPは証券ではなく、国際送金などを円滑にするための通貨、あるいは商品であると一貫して反論してきた。この訴訟の争点は、特定の仮想通貨が「証券」に該当するかどうかという、業界の根幹に関わる問題だった。

訴訟の過程では、2023年7月に重要な判断が下された。

担当のアナリサ・トーレス判事は、機関投資家向けのXRP販売は証券取引に該当するものの、個人投資家が取引所を通じて購入する二次市場での販売は証券取引にはあたらない、とする略式判決を下した。この判断はリップル社にとって部分的な勝利となり、XRP価格の一時的な高騰を招いた。

市場への影響と今後の展望

今回の和解が成立すれば、XRPを取り巻く法的な不確実性は大きく後退する。これは、リップル社の事業展開にとって大きな追い風となる可能性がある。同社はこれまで、訴訟を理由に米国での事業展開に慎重な姿勢を見せていた。

さらに、この和解は仮想通貨業界全体にも重要な意味を持つ。SECはリップル以外にも、複数の大手仮想通貨取引所を同様の理由で提訴している。今回の和解内容は、他のアルトコイン関連の訴訟における先例となる可能性がある。

市場では、規制の明確化が進むことへの期待感が高まっている。訴訟の終結は、XRPの取引や採用を検討する金融機関や企業にとって、参入障壁を下げる一因となるかもしれない。

今後の仮想通貨市場の健全な発展に向けた、重要な一歩として注目される。今回の判決は、XRPだけでなく、ビットコインをはじめとする他の主要な暗号資産の法的地位にも影響を与える可能性がある。

著者: 峯 竜也

暗号資産とブロックチェーン技術に特化したジャーナリスト。業界の最新動向や市場分析を発信。技術的な深掘りから初心者向けガイドまで、幅広い読者に向けたコンテンツ制作を得意とする。