仮想通貨業界の著名人アーサー・ヘイズ氏は8日、米中貿易摩擦に伴う中国人民元の切り下げが仮想通貨市場、特にビットコイン(BTC)への資金流入を促す可能性があると分析した。
人民元切り下げと仮想通貨市場の関係
米中間の貿易摩擦が激化する中、中国当局が人民元の価値を意図的に下げる政策を取る可能性が指摘されている。
If not the Fed then the PBOC will give us the yachtzee ingredients.
CNY deval = narrative that Chinese capital flight will flow into $BTC.
It worked in 2013 , 2015, and can work in 2025.
Ignore China at your own peril. pic.twitter.com/LAOeQZEjZt
— Arthur Hayes (@CryptoHayes) April 8, 2025
ヘイズ氏によれば、人民元切り下げは中国国内の投資家が資産防衛のために暗号資産(仮想通貨)市場へ資金を移動させる動きを加速させるという。
特に中国の富裕層は、資産価値の目減りを防ぐため、規制が厳しいにもかかわらず様々な方法で仮想通貨を購入している実態があるとされる。
こうした資金移動は、厳格な資本規制が敷かれている中国において、資産防衛の手段として定着しつつある。
過去の事例からみる仮想通貨と人民元の関係
ヘイズ氏は過去の米中貿易摩擦時の市場動向を分析し、人民元安とビットコイン価格の間に明確な相関関係があることを指摘している。
China will impose 34% tariffs on all US imports starting April 10.
This comes after Trump announced an additional 34% tariff on all Chinese goods imported into the US. China called the US actions "unilateral bullying" and said they undermine international trade rules. pic.twitter.com/jz5S4uqmZG
— Complex (@Complex) April 4, 2025
2019年に人民元が7元/ドルの心理的節目を超えて下落した際も、ビットコインの価格は顕著な上昇を見せた。
当時、中国国内の投資家が資本規制を回避するために仮想通貨を利用したと考えられており、今回も同様のパターンが生じる可能性があるという。
この現象は、地政学的リスクの高まりと仮想通貨市場の動向が密接に関連していることを示している。
ビットコインの安全資産としての新たな地位
注目すべきは、ヘイズ氏がビットコインを単なる投機対象ではなく、経済的不確実性の高まる状況下での「安全資産」として位置づけている点だ。
従来の安全資産である金と同様に、政府や中央銀行の政策に左右されない特性が、地政学的リスクが高まる状況下で評価されている。
特に中国のような為替管理が厳しい国では、ビットコインが資産防衛の手段として重要性を増している。仮想通貨の非中央集権的な性質が、政治的・経済的混乱時に重要な価値を持つという見方が広がりつつある。
今後の市場予測
ヘイズ氏は、米中の緊張関係が短期間で解消される可能性は低いとし、今後も人民元の下落圧力が続く可能性を指摘している。
その場合、中国からの資金流出が仮想通貨市場全体にポジティブな影響を与え、ビットコインを筆頭に主要アルトコインの価格上昇を後押しする可能性があるという。
また、世界的な経済不安が高まれば、中国以外の投資家もリスクヘッジとして仮想通貨に注目する可能性があると分析している。
ビットコインが持つ「デジタルゴールド」としての特性が、従来の金融システムへの不信感が高まる中で、より広く認識されるようになるかもしれない。