仮想通貨USDT(テザー)とは、米ドルに連動した世界で最初にリリースされたステーブルコインです。USDTはステーブルコインを代表する銘柄ですが日本の取引所では購入できないため、利用にハードルを感じている方も多いでしょう。
本記事ではUSDTの購入方法はもちろん、USDT(テザー)とは何なのか、特徴やメリット、危険性、日本円に換金する方法まで幅広く解説していきます。USDTを暗号資産(仮想通貨)投資に活用していきたいと考えている人は、ぜひ最後までご覧ください。
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USDT(テザー)とは?
USDT(テザー)とは、米ドルと1:1の価値を維持することを目的とし、2015年にTether社によって発行されたステーブルコインです。テザーコインと呼ばれることもあり、その安定性から仮想通貨取引の基軸通貨として多くの暗号資産(仮想通貨)取引所で採用されています。
USDTは価格変動の激しいビットコインや草コインなどの仮想通貨市場において、一時的な資産の避難先や取引のペアとして重宝されており、国際送金や決済手段としても注目を集めています。またDeFi(分散型金融)の世界でも重要な役割を果たし、新しい金融サービスに活用されています。
項目 | 詳細 |
---|---|
仮想通貨名 | Tether (テザー) |
ティッカーシンボル | USDT |
発行年 | 2015年 |
発行元 | Tether Limited社 |
価格連動 | 米ドル (1USDT = 1USD) |
時価総額 | 約1200億ドル (2024年10月時点) |
USDT(テザー)の特徴
ここからはUSDT(テザー)の具体的な特徴を5つ見ていきます。
- 米ドルと価値が連動する
- 複数のブロックチェーンに対応している
- 高い流動性と取引量がある
- DeFiで活用されている
- 中央集権的な管理構造である
それぞれ解説していきます。
米ドルと価値が連動する
USDT最大の特徴は、米ドルと1:1の価値を維持するよう設計されていることです。Tether社が発行するUSDTは、同額の米ドルを準備金として保有することで、価格の安定性を確保しています。
この仕組みによりUSDTは他の仮想通貨とは異なり、極端な価格変動を抑えることができています。ビットコインやイーサリアムなどの主要な仮想通貨、さらにはミームコインのような投機性の高い通貨が激しい価格変動を示す中、USDTの安定性は際立っています。
この特徴により、USDTは、市場の変動から一時的に資産を守るための避難先として機能しています。その他、取引所間の資金移動や国際送金の手段としても広く利用されていたり、多くの取引所で基軸通貨として採用され、様々な仮想通貨との取引ペアが提供されているなど、多様なシーンで活用されています。
複数のブロックチェーンに対応している
USDTは複数のチェーンタイプに対応していることも大きな特徴の一つです。主要なものとしてアルトコインであるイーサリアム(ETH)、トロン(TRX)などがあります。
各ブロックチェーンには固有の利点があり、例えばUSDTの主要な送金ネットワークであるイーサリアムブロックチェーン上で発行・取引されるUSDT ERC-20は、イーサリアムのDeFiプロトコルやdAppsとの統合が容易になっています。トロンチェーンの場合は取引手数料が低く、イーサリアムの100倍以上の高速な処理を特徴としています。
この複数のブロックチェーン対応によりUSDTはクロスチェーン取引を可能にし、異なるエコシステム間での資産移動を効率化しています。
高い流動性と取引量がある
USDTは仮想通貨市場において圧倒的な流動性と取引量を誇っています。多くの海外取引所で基軸通貨として採用されており、様々な仮想通貨との取引ペアが提供されています。
時価総額においてもUSDTはステーブルコインの中で最大規模を誇り、2024年10月時点で約18兆円に達しています。この巨大な市場規模は、USDTが仮想通貨取引において重要な役割を果たしていることを示しています。
以下は仮想通貨の時価総額上位7銘柄ですが、USDTはおすすめ仮想通貨として不動の人気を誇るビットコインやイーサリアムの次である時価総額3位の位置を堅守しています。
順位 | 仮想通貨名 | シンボル | 時価総額(日本円) |
---|---|---|---|
1 | ビットコイン | BTC | 182兆円 |
2 | イーサリアム | ETH | 43兆円 |
3 | テザー | USDT | 18兆円 |
4 | バイナンスコイン | BNB | 12兆円 |
5 | ソラナ | SOL | 10兆円 |
6 | USD Coin | USDC | 5兆円 |
7 | リップル | XRP | 4兆円 |
引用:CoinMarketCap 暗号資産時価総額上位100
DeFiで活用されている
USDTはその安定性と高い流動性から、多くのDeFiプロトコルで広く採用されているのも特徴と言えます。
分散型取引所(DEX)では、USDTは流動性プールの主要な構成要素として利用されています。Uniswap(ユニスワップ)やSushiSwap(スシスワップ)などのDEXで、USDT/ETHやUSDT/BTC等のペアが人気を集めています。
また、アーベ(Aave)やCompound(コンパウンド)などのレンディングプラットフォームでは、USDTを担保として他の暗号資産を借り入れたり、USDTを貸し出して利子を得たりすることができます。その際のUSDTの金利や担保率などの重要なパラメータはDAO(分散型自律組織)の投票で決定されています。
中央集権的な管理構造である
USDTは分散型がメインであるIDO仮想通貨などと異なり、中央集権的な管理構造を持っています。Tether Limited社が発行と管理を一元的に行うことで、以下の特徴が生まれています。
- 価格安定性:1USDTを1ドルに保つペッグ制を維持しやすい
- 迅速な対応:市場変化や技術的問題に素早く対処できる
- 透明性の課題:準備金管理や監査に関する不透明さが指摘されている
- カウンターパーティリスク:Tether社の破綻がUSDTの価値に直結する可能性がある
- 規制リスク:中央管理者の存在により、規制当局の監視対象となりやすい
この構造は分散型の仮想通貨とは対照的であり、USDTに独自の役割と課題をもたらしています。
USDT(テザー)のメリット
USDTの主なメリットとしては、以下の3つがあります。
- 価格の安定性
- 取引の利便性
- グローバルな利用可能性
価格の安定性
USDTの最大のメリットは価格が安定していることです。米ドルと1:1で連動するように設計されているため、上場予定の仮想通貨などと比べると遥かにボラティリティが低くなっています。
この利点によりUSDTは仮想通貨のマイニングで得た仮想通貨をUSDTに変えるなど、資産の保全先として優れた選択肢となっています。エルフトークンなどの価格が動きやすい仮想通貨が急落した際にも、一時的にUSDTに資金を移し価値の下落を防ぐなどの資産防衛手段として用いることも可能です。
決済手段としても実用性が高く、価格変動のリスクを気にせずに取引を行うことができるのも大きなメリットです。
取引の利便性
USDTは多くの海外取引所で基軸通貨として採用されており、取引の利便性が高いことも大きなメリットです。ほとんどの仮想通貨とUSDTのペアが用意されているため、ワールドコインのような先進的な通貨も簡単に取引することができます。
取引所間の資金移動にも便利で、異なる取引所間でもUSDTを介することで迅速かつ低コストで資金を移動できます。プレセール仮想通貨の購入の際にも利用可能なことが多く、トレーダーや投資家にとって非常に使いやすい通貨となっています。
グローバルな利用可能性
USDTは世界中で広く利用されており、国境を越えた送金や決済に適しています。特に米ドルへのアクセスが制限されている国や地域では、USDTが代替手段として重要な役割を果たしています。
例えば2022年3月、スイスのルガーノ市がUSDTを事実上の法定通貨の1つとして採用し、買い物や税金の支払い、公共サービスの利用料に使用可能になりました。ルガーノ市の成功例が将来的に他の都市や地域でのUSDT採用につながる可能性があります。
USDT(テザー)のデメリット・危険性
USDTのデメリット・危険性に関しては、以下を認識しておくことが大切です。
- カウンターパーティーリスクの存在
- 規制リスクの増大
- 大きな利益が見込めない
カウンターパーティーリスクの存在
USDTの最大の危険性は、カウンターパーティーリスクの高さです。USDTはTether Limited社によって中央集権的に管理されているため、同社に問題が生じた場合、USDTの価値が大きく影響を受ける可能性があります。
例えばTether Limited社で不祥事が起きた場合、USDTの信用が揺らぎ、米ドルとの価格連動に悪影響が生じる恐れがあります。このリスクは、分散型管理を特徴とする他の仮想通貨と比較して顕著です。
規制リスクの増大
欧州連合(EU)の暗号資産市場規則(MiCA)の施行により、USDTの規制リスクが急速に高まっています。MiCAは2024年6月30日からステーブルコインに適用され、発行者に厳格な透明性と消費者保護基準を求めています。
特に注目すべきは、USDTがEU域内で事業を継続するためには、少なくとも1つのEU加盟国で電子マネー機関(EMI)としての認可を取得する必要があることです。また準備金の30%を銀行口座で保有するなど、厳しい要件を満たさなければなりません。
これらの規制に対応できない場合、コインベースなどの主要取引所がUSDTの上場廃止を検討しており、EU市場でのシェア低下が懸念されています。Tetherは欧州市場向けの新たな解決策を模索中ですが、MiCAへの完全な準拠には課題が残されています。
参考:Markets in Crypto-Assets Regulation (MiCA)
大きな利益が見込めない
USDTは米ドルと連動しているため、価格が安定している反面、大きな利益を得ることが難しいというデメリットがあります。
下記はUSDTの全期間の価格推移ですが、ほとんど1ドルから乖離していないのが分かります。
引用:Tether(USDT)価格・チャート・時価総額 | CoinMarketCap
過去に1000倍になった仮想通貨に比べれば圧倒的にボラティリティーが少ないので、仮想通貨で稼ぎたい人には向きません。また、価格が動かないため、含み益狙いでのガチホ(長期保有)にも適しません。
ICO仮想通貨への投資のような高いリターンを期待する投資家にとっては、USDTの価格安定性が物足りなく感じる可能性は認識しておくべきでしょう。
USDT(テザー)の購入方法・買い方【6ステップ】
USDTを始めとした多くのステーブルコインは日本国内の取引所で日本円で直接買うことはできず、購入方法としてはバイビット(Bybit)などの海外取引所やDEXを活用する必要があります。
一般的なビットコインの買い方とは違うためハードル高く感じる方が多いかと思います。ここでは6つのステップに分けて海外取引所でバイビットを利用した場合のUSDTの買い方を紹介していきます。
注意点も解説していきますので、慎重に取引を行ってください。
- ステップ①:国内取引所で口座開設
- ステップ②:日本円を入金
- ステップ③:中継となる暗号資産を購入
- ステップ④:海外取引所(バイビット)へ送金
- ステップ⑤:USDTへの交換
- ステップ⑥:外部ウォレットに送金
ステップ①:国内取引所で口座開設
USDTを購入するための最初のステップは、信頼できる日本国内の仮想通貨取引所で口座を開設することです。USDTに限りませんが、仮想通貨取引の際はビットフライヤー、コインチェックなどの大手取引所がおすすめです。
口座開設の手順は比較的簡単です。
- 取引所のウェブサイトから新規登録
- 基本情報の入力と本人確認書類の提出を行う
- 多くの場合1〜3営業日程度で審査が完了する
口座開設時の注意点は以下になります。
- 正確な個人情報を入力し、虚偽の情報を提供しないこと
- 本人確認書類は鮮明で最新のものを使用すること
- 二段階認証を設定し、アカウントのセキュリティを強化すること
ステップ②:日本円を入金
口座開設が完了したら、次は日本円を入金します。入金方法は取引所によって異なりますが、一般的には銀行振込、クレジットカードが仮想通貨取引所で対応している方法です。
- 取引所の「入金」ページから専用の振込先口座情報を確認
- インターネットバンキングやATMから送金
入金時の注意点は以下になります。
- 初回入金は必ず本人名義の口座から行うこと
- 入金額は購入予定のUSDT金額に手数料を加えた金額を目安にすること
- 入金方法によって反映時間が異なるため、余裕を持って入金すること
ステップ③:中継となる暗号資産を購入
バイナンスジャパンなどの国内取引所では通常、USDTを直接購入することができません。まずはビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの主要な暗号資産を購入する必要があります。
これらは「中継通貨」として機能し、後でUSDTに交換することができます。
- 取引所の「購入」または「取引」ページで購入したい暗号資産を選択
- 成行注文か指値注文を行う
購入時の注意点は以下になります。
- 取引手数料を考慮して購入金額を決定すること
- 市場の変動が激しい時は指値注文を検討すること
- 購入後は必ず資産残高を確認すること
ステップ④:海外取引所(バイビット)へ送金
購入した暗号資産をUSDTを取り扱っている海外取引所に送金します。
Binance(バイナンス)は2022年11月30日から日本国内からの利用が不可能なため、バイビットでUSDTを買う方法が一般的です。以下の手順に従ってください。
- バイビットにログインし、「資産」タブから「入金」を選択
- 送金する仮想通貨を選び、入金アドレスとタグ(必要な場合)をコピー
- 国内取引所の出金ページで、バイビットの入金アドレスとタグを正確に入力
- 送金金額を入力し手数料を確認後、二段階認証などのセキュリティ確認を行う
- 送金を実行し、トランザクションIDを控える
送金時の注意点は以下になります。
- 送金先アドレスを慎重に確認し、誤送金を防ぐこと
- 送金手数料を考慮して金額を決定すること
- 送金完了まで時間がかかる場合があるため、焦らずに待つこと
ステップ⑤:USDTへの交換
バイビットに暗号資産が到着したら、USDTへ交換します。
- バイビットの「取引」タブから「スポット」を選択
- 取引ペア(例:ETH/USDT)を選び、「売却」欄で数量を入力
- 現在の取引レートを確認し、「売却」ボタンをクリックして注文を出す
注文が約定したら、USDTの残高を確認します。
交換時の注意点は以下です。
- 取引手数料を考慮して交換量を決定すること
- 大量の取引は複数回に分けて行い、リスクを分散させること
ステップ⑥:外部ウォレットに送金
USDTの購入完了後、資産を安全に自己管理するために取引所外部のウォレットへ送金することをおすすめします。ウォレットで有名なのはメタマスクですが、選び方としてUSDTアドレスの作り方が簡単なウォレットを推奨します。本サイトではUSDT保管のおすすめウォレットとして、特に手続きが簡単なBest Walletをおすすめしています。
以下の手順でウォレットに送金を行いましょう。
- バイビットの出金ページで、ウォレットのUSDTアドレスを正確に入力する
- 送金金額と手数料を確認し、二段階認証などのセキュリティ確認を実施する
- 送金を実行し、トランザクションIDを記録して完了を確認する
以下の点に注意するようにしてください。
- 送金時はアドレスの入力ミスに細心の注意を払うこと
- ネットワーク混雑時はUSDTの送金手数料が高騰する可能性がある
より安全性を高めたい人は、ネットに繋がっていないコールドウォレットも検討してみてください。
以上がUSDTを購入し、自分のウォレットで安全に保管する工程になります。送金先アドレスを間違えると回収不可能になってしまうため、慎重に作業を進めるようにしてください。
また、ステップ⑤での、中継となる暗号資産の取得価額とUSDTに交換した時点での価値に差がある場合、その差額が課税対象になる可能性があります。仮想通貨の税金対応のために、履歴を残しておくことをおすすめします。
USDT(テザー)を日本円にする方法
外部の仮想通貨ウォレットに保管されているUSDTを日本円に換金するには、以下のステップに沿うことで可能です。ここではバイビットを利用した方法を説明しますが、バイナンスなど他の海外取引所でのUSDTでの両替も基本は同じ流れになります。
- ステップ①:USDTをバイビットに送金
- ステップ②:USDTを他の仮想通貨に交換
- ステップ③:国内取引所に送金
- ステップ④:日本円に換金
- ステップ⑤:銀行口座に出金
それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。
ステップ①:USDTをバイビットに送金
まず、バイビットのアカウントにログイン後、以下の手順でUSDTを送金します。
- バイビットにログインし、「資産」タブから「入金」を選択
- USDTを選び、適切なネットワーク(例:ERC20)を選択
- 表示されたUSDTアドレスをコピー
- 外部ウォレットからバイビットのUSDTアドレスに送金
送金時は必ずアドレスとネットワークを再確認し、小額での送金をおすすめします。
ステップ②:USDTを他の仮想通貨に交換
バイビットでUSDTを受け取ったら、国内取引所で取り扱いのある仮想通貨に交換します。ここではUSDTをビットコインに変える例を解説します。
- バイビットの「取引」タブから「スポット」を選択
- BTC/USDTの取引ペアを選択
- 「買い注文」欄で数量を入力し、注文を実行
ステップ③:国内取引所に送金
次に、日本のビットフライヤーやコインチェックなどの仮想通貨取引所のアカウントを開設し、以下の手順でBTCを送金します。
- バイビットの「資産」タブから「出金」を選択し、BTCを選択
- 国内取引所のビットコインのウォレットアドレスを入力
- 送金金額を入力し、二段階認証を行って送金を実行
送金時はウォレットアドレスの入力ミスに注意しましょう。
ステップ④:日本円に換金
国内取引所でBTCを受け取ったら、以下の手順で日本円に換金します。
- 取引所の「取引」機能を選択
- BTC/JPYの取引ペアを選び、「売り注文」を出す
- 数量と価格を入力し、注文を実行
取引所を利用すると、販売所よりも手数料が安くなる傾向があります。
ステップ⑤:銀行口座に出金
最後に、取引所から日本円を自分の銀行口座に出金します。
- 取引所の「出金」機能を選択
- 出金先の銀行口座情報を入力
- 出金金額を指定し、二段階認証を行って出金を実行
出金には通常1〜3営業日程度かかります。また、取引所によっては出金手数料がかかる場合があるので確認が必要です。
以上がUSDTの日本円への換金方法になります。
なお、日本円ではなく最終的にUSDTをドルに換金する場合は、このあと日本円をドルにすることで可能です。日本ではバイビット上でUSDTを直接ドルにはできないため、ご注意ください。
注意点とセキュリティ対策
USDTを日本円に換金する過程では、以下の点に注意が必要です。
- 送金先のアドレスとネットワークを常に二重確認する
- 小額での試し送金を行ってから大量の送金を行う
- 全ての取引所で二段階認証を設定し、セキュリティを強化する
- バイビットと国内取引所の手数料や為替レートを比較検討する
- 大量の資金を扱う際は、複数回に分けて送金することを検討する
これらの注意点を守ることで、安全かつ効率的にUSDTを日本円に換金することができます。また取引履歴を正確に記録しておくようにしましょう。USDT関連の税金の処理で重要になってきます。
USDT(テザー)の今後の見通し・将来性
USDT(テザー)の今後に関しては、以下の3点が注目されています。
- 市場シェアの拡大と利用者数の増加
- 透明性向上への取り組み
- 実社会での採用拡大
市場シェアの拡大と利用者数の増加
USDTは2024年10月時点で、ステーブルコイン市場の約75%のシェアを占めるまでに成長しています。Tether社の発表によると、2024年10月7日時点でUSDTの利用者数は3億5000万人を突破し、過去1年間で24%増加しました。この急速な成長は、USDTが法定通貨と仮想通貨の橋渡し役として広く認知されていることを示しています。
今後もクロスボーダー決済や新興国での金融サービスへのアクセス改善など、さまざまな用途での採用が期待されており、市場シェアと利用者数の更なる拡大が見込まれます。
参考:テザー、ユーザー数が3億5000万人を超え、10年連続の成長を記録
透明性向上への取り組み
Tether社は数年以内にリアルタイムの準備金報告を開始する予定です。これによりUSDTの裏付けとなる資産の透明性が大幅に向上し、投資家や規制当局からの信頼性が高まることが期待されます。過去に準備金に関する疑念を抱かれていたUSDTにとって、この取り組みは将来的な成長と採用拡大に向けた重要なステップと言えます。
2024年第1四半期には過去最高の45億2000万ドルの純利益を計上し、純資本も113億7000万ドルに達したことが報告されています。この財務健全性の向上もUSDTの将来性を支える重要な要因となっています。
実社会での採用拡大
USDTの実社会での採用も急速に進んでいます。NFTゲームであるエレメンタルストーリーワールドでは、USDTを用いてNFTを購入することができます。購入したNFTキャラでクエストをクリアすることで、仮想通貨を稼ぐことも可能です。
USDTは国際送金や決済の分野でも注目を集めており、発展途上国では高コストな銀行システムの代替としてUSDTが貴重な金融インフラの役割を担いつつあります。例えばベネズエラやアルゼンチンなどのインフレ率が高い国々では、USDTが事実上の「ドル化」の手段として利用されており、国民の資産価値保護に貢献しています。
eコマース業界でもUSDTの採用が進んでいます。大手オンラインショッピングプラットフォームの中には、USDTでの決済オプションを提供し始めているところもあります。これにより国境を越えた取引がより簡単かつ低コストで行えるようになり、グローバルな経済活動の促進に寄与しています。
これらの取り組みにより、USDTは従来の金融システムとブロックチェーン技術を基盤とする新しい経済システムの架け橋としての役割を強化し、今後さらなる成長が期待されます。
参考:Tether、Web3 EコマースプラットフォームUquidと提携し、1 USDTストアを開設
まとめ
本記事ではUSDT(テザー)の仕組みや特徴、危険性、購入方法や日本円にする方法まで幅広く解説していきました。USDT(テザー)とは、米ドルと1:1の価値を維持するように設計されたステーブルコインです。Tether社が発行し、仮想通貨取引所での取引ペアや価値保存手段として広く利用されています。価格の安定性が特徴のためIEO仮想通貨のように大きく稼ぐことはできませんが、仮想通貨市場の重要な基盤となっています。
USDTには準備金の透明性や規制対応など課題もありますが、Tether社は改善に取り組んでいます。USDTは今後も仮想通貨市場を支える存在として、さらなる成長と採用拡大が期待されています。
仮想通貨のエアドロップのような無料配布はUSDTでは一般的では無いですが、仮想通貨市場が大きく変動する時の資産の避難先としていつでも利用できるように、早めに海外取引所を利用した購入過程を経験しておくことをおすすめします。