SNS「トゥルース・ソーシャル」を運営するトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは21日、積み立てているビットコイン(BTC)が20億ドル(約2,940億円)相当に達したことを発表した。
さらに、ビットコイン関連証券のオプション取得戦略に約3億ドルの追加資本が割り当てられた。
この取得は、同社が2025年5月に策定した「ビットコイン財務計画」に基づくものだ。購入額は同社が保有する30億ドル(約4,410億円)の流動資産の3分の2に相当する。
同社はさらに、ビットコインのオプション戦略のために3億ドル(約441億円)を別途割り当て、今後も仮想通貨保有を拡大する方針を確認した。
これと並行して、イーサリアム(ETH)の上場投資信託(ETF)への大規模な資金流入も報告されている。ドナルド・トランプ米大統領の息子であるエリック・トランプ氏も、この動向を公に支持している。
企業戦略の転換と市場の追い風
トランプメディアは、仮想通貨に特化した投資サービスへの転換を進めている。計画には、独自のETFやトゥルース・ソーシャルのエコシステムで利用可能な「ユーティリティトークン」の開発が含まれる。
この動きは、世界のビットコイン供給量の3%を保有するマイクロストラテジー社などの戦略を彷彿とさせる。
この戦略転換の背景には、規制や政治的な追い風がある。トランプ政権による親仮想通貨政策や、ステーブルコインに関する「GENIUS法案」への署名、さらに議会下院での仮想通貨推進法案の進展が、市場に有利な環境を生み出した。
市場心理も大きく変化している。かつてビットコイン懐疑派として知られたピーター・シフ氏が態度を転換し、機関投資家の採用拡大を理由にビットコインの購入を推奨した。
イーサリアムへの関心拡大と市場への影響
イーサリアムが持つスマートコントラクト機能や、分散型金融(DeFi)アプリケーションへの期待感が、機関投資家の関心を集めている。これがイーサリアムETFへの資金流入を加速させる主な要因だ。
今回の発表を受け、トランプメディアの株価(DJT)は5.6%上昇した。しかし、年初来では依然として42%下落している。
ビットコイン価格は「仮想通貨ウィーク」中に一時12万ドルを突破した後、11万8,400ドル(約1,740万円)近辺で安定した。
トランプメディアの動きは、イーサリアムを財務資産とするBitMine Immersion Technologies社など、他の企業によるデジタル資産採用を加速させるシグナルと見られている。
同社はビットコイン準備金を活用し、金融機関による差別を緩和し金融の自由を確保することを目指している。
イーサリアムETFへの資金流入は、機関投資家のポートフォリオがビットコイン以外にも多様化しつつあることを示している。