OpenAIのサム・アルトマンCEOが共同設立した暗号資産(仮想通貨)プロジェクトWorldは、米国でのサービスを開始した。
このプロジェクトは、独自の虹彩スキャン技術を用いて個人の本人確認を行うことを特徴としている。
利用者は「Orb」と呼ばれる球体型のデバイスで自身の虹彩をスキャンすることで、デジタルIDである「World ID」を取得できる。
World is live in the USA. Verify your World ID in six key cities now. pic.twitter.com/cju65pn7L7
— World (@worldcoin) May 1, 2025
Worldcoinの仕組みと目的
Worldプロジェクトの核心は、AIがますます普及する社会において、「人間であること」を証明する普遍的な方法を提供することにある。
この「Proof of Personhood(人間性の証明)」は、オンライン上でのボットと人間の区別を可能にし、様々なサービスへの公平なアクセスを実現することを目指す。
虹彩スキャンによって生成されるWorld IDは、個人を特定する情報を含まずに、その人が唯一の人間であることを証明する。このプロセスを通じて、プライバシーを保護しながらデジタルな身元証明を提供する。
米国でのサービス開始に伴い、虹彩スキャンによる認証プロセスを完了したユーザーに対しては、インセンティブとしてWorldcoin(WLD)トークンが付与される。
WLDは、プロジェクトのガバナンスや、将来的には様々なアプリケーションでの利用が想定されている仮想通貨である。
米国展開とプライバシーへの懸念
Worldの米国でのサービス展開は、プロジェクトにとって大きな前進を意味する。しかし、生体情報である虹彩データの収集と管理については、プライバシーとセキュリティに関する懸念も指摘されている。
プロジェクトチームは、虹彩データそのものは保存せず、ハッシュ化されたコードのみを記録すると説明している。
データの匿名化やセキュリティ対策には細心の注意を払っているものの、大規模な生体情報データベースの構築に対する社会的な議論は続いている。
Worldはビットコインやイーサリアムに続く期待の高いアルトコインとして注目を集めており、その独自の認証技術と社会的ビジョンが評価されている。
Worldは、AI時代のベーシックインカム分配手段としての可能性も探っている。全ての登録ユーザーに定期的にWLDトークンを配布することで、経済的な格差是正に貢献することを目指す壮大なビジョンを持つ。
今後、Worldが規制当局や社会からの懸念にどのように対応し、信頼を構築していくかが、プロジェクトの成否を左右する重要な要素となるだろう。
米国市場での実績は、今後のグローバル展開における試金石となる可能性がある。
ユーザーはWorldcoinを保管・管理するために、各種web3ウォレットを利用することが可能だ。プロジェクトの進展に伴い、専用ウォレットの機能拡充も期待されている。